鹿島御児神社 本殿再建にめど 伊勢山神宮から古社殿譲与
石巻日日新聞 2017年3月29日(水) 東日本大震災の揺れで基礎部分が大きく損傷したため、平成25年8月に解体された石巻市日和が丘の鹿島御児神社本殿。長らく再建のめどが立たない状況だったが、神奈川県横浜市の伊勢山皇大神宮から代わりとなる本殿が寄贈されることになった。本殿は今後同神宮で一度解体し、木材を鹿島御児神社に運んだ後、改めて組み直すという。
鹿島御児神社の本殿は約350年前の江戸時代初期に建てられた由緒ある建物で、日本神話にも登場する雷神、武甕槌命(たけみかづちのみこと)と鹿島天足別命(かしまあまたりわけのみこと)の親子を宿したとされる御神体が祭られていた。
築年数から老朽化も懸念されていたところに平成23年3月11日、東日本大震災が発生。基礎部分の土台に大きな亀裂が入り、倒壊の恐れが出たことから取り壊された。
再建には多額の資金が必要だが、氏子の大半は門脇・南浜地区の住民であり、津波で大きな被害を受けた。寄付を募ることもはばかられ、見通しが立たずにいた。
そんな中、横浜市の伊勢山皇大神宮の本殿が創建150年記念事業の一環で、平成32年までに建て替えることになり、使わなくなった古社殿を鹿島御児神社に譲与するとの申し入れがあった。釘を一切使用していない神明造りで、ヒノキの樹皮を用いた檜皮(ひわだ)葺きの屋根が特徴。現地で本殿を解体した後、鹿島御児神社で改めて組み直すこととした。
鹿島御児神社の窪木兼忠宮司(76)によると、輸送や組み直しなどの再建に係る費用は概算で約1億円に上る予定だ。それでも新築に比べて約2分の1の出費に抑えられるという。窪木宮司は「御神体は今、拝殿正面に設けた小さな仮本殿に収めている。費用面で課題は残るが、神様をこのままにしておくわけにはいかないので、厚意をありがたく受けた」と経緯と胸の内を話した。
先方の都合もあるため、本殿の再建時期については未確定だ。なお、鹿島御児神社では本殿の移設新築に伴い、老朽化が顕著に見られる社務所と、社務所と拝殿をつなぐ幣殿の2棟の改修工事も行う。来年3月ごろに着工し、同12月の竣工を見込んでおり、本殿の再建は、少なくともその後になる見通しという。
窪木宮司は「一生をかけても再建するという気持ちで臨んできた。課題はまだ山積しているが、支援への感謝を忘れず頑張っていきたい」と話していた。
【写真】(上)解体前の鹿島御児神社本殿(平成25年5月14日)、(下)解体後の本殿跡地(平成29年3月29日)
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