金華山灯台 登録有形文化財に 東北最古の石造 現役で活躍
石巻日日新聞 2017年3月28日(火) 文部科学省文化審議会は28日までに、金華山灯台を登録有形文化財とするよう文部科学大臣に答申した。今も現役で稼働する洋式灯台で、明治9年11月に点灯され、昨年が140年の節目。石造の灯台としては東北最古であり、緩やかな規制による保存と活用が図られることが期待される。市内の同文化財は3カ所目だが、現存するのは2カ所となる。
金華山灯台は船着場から約6キロの島の南端に位置する。設計したのは、明治初期に日本各地の灯台建設を指導した英国人のリチャード・ヘンリー・ブラントン。花こう岩布積による円形の灯塔と半円形の付属舎が一体になった造りで、上部に青銅製の灯室とドーム型鋼製灯ろうを置く。断崖絶壁に立つ白亜の灯台は、140年間大きな改修もなく、原形をとどめている。
当初は職員が常駐し、長く北米航路の安全を守ってきた。その後に交替勤務となり、平成17年3月から無人化。現在は、第二管区海上保安本部が4半期に一度の動作確認などを行っている。
所有者である同本部の提案を受け、石巻市が登録文化財制度による申請を行った。官報による公示で正式決定となり、今後、市から同本部へのプレート交付などのセレモニーを行う予定だ。
登録有形文化財は50年を経過した歴史的建造物のうち、一定の評価を得たものを登録する平成8年からの制度。手厚く保護する従来の文化財と違い、外観を4分1損なわなければ改修に届出は必要なく、緩やかな規制によってまちづくりや観光に積極的に活用することができる。
金華山灯台は東日本大震災の被害が軽微だったが、そこまで通じる道が整備されていない。市教育委員会生涯学習課は「現状での活用は難しいので、まずは市内外に存在を周知したい」と話している。
市内では平成24年に旧相川診療所が登録され、震災後の住居(仮設住宅)として活用が図られた。ほかに旧北上町役場も登録されていたが、津波で滅失した。
【写真】建設時の姿を残す金華山灯台
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