石巻日日新聞

サンマ水揚げ過去最低の可能性 女川は昨年の4分の1

「どん底」と肩落とす

女川町 政治・経済 阿部 達人 2019年12月11日(水) 8時50分
女川では例年より1カ月遅れて10月5日に初水揚げ。第2便はさらに10日後だった

 今年のサンマ水揚げ量が過去最低を更新する見通しとなっている。8月から11月末までの国内水揚げ量は3万7千トンで、最低記録となった平成29年同期の半分にとどまる。本州有数の水揚げ港である女川港でも3700トンと29年の4割。最終的には4500トン程度と異例の低実績で今季を終える予測になっている。

 サンマ漁は8―12月に行われ、以前は全国で年間20―30万トンを漁獲。しかし27―29年は全国さんま棒受け網漁業協同組合が統計を始めた昭和56年以来の最低記録を更新し、29年は7万4千トン、30年は多少持ち直して11万8千トンだった。

 今年の序盤は群れの薄さに加えて分布が遠く、10月末までの全国水揚げ数量はわずか2万トンと昨年同期の2割。沿岸に来遊が進む11月を通しても昨年同期比3割の3万7千トンにしか届かなかった。

 女川の水揚げは例年より1カ月ほど遅い10月5日に始まった。同月は12隻しか入らず水揚げは800トン。三陸沿岸に魚群が近付いても水揚げは週2、3回しかなく、11月末までの水揚げ量は昨年の4分の1に当たる3700トンに終わった。

 サンマを満載した船が港を連日にぎわす光景がないまま、まもなく女川の今季の水揚げは終わる。同魚市場の加藤實社長は「今年はどん底を見た思い」と肩を落とす。

 9日は小型を中心に73トンが同魚市場に入荷。例年であれば1キロ当たり100円を切るところ、250―190円と高値で取り引きされた。不漁に伴う価格高騰は地元の水産加工業者に打撃を与えており、低調が続けば食卓からもサンマが遠ざかる。

 県水産技術総合センターは「以前は不漁が2年続くことはなかった。サンマは資源サイクルが早いだけに今後、資源量が回復する可能性はあるが、はっきりと見通せない」という。不調の要因は海洋環境の変化に伴う資源量の減少に加え、公海上での中国や台湾などによる大量漁獲も指摘されている。

 資源保護を巡って国は7月、これら8カ国との北太平洋漁業委員会で、国際的な漁獲枠導入へ合意を取り付けた。緩やかな規制で直接の効果は薄いが、国は今後の交渉への一歩と見ている。

 一方で政府は今年からサンマの通年操業を解禁。5―7月に公海上で操業したが、漁獲量は5千トンで試験操業した前年の57%と低調。国内流通はこのうち1割。関係業者も採算や品質面で夏漁サンマに慎重な姿勢を取っている。

最終更新:2019年12月11日(水) 8時50分

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