ようやく女川港に今季初サンマ 榮久丸(石巻)57トン水揚げ
脂乗り良好な中型主体
女川町 政治・経済 石巻日日新聞 2019年10月7日(月) 8時56分女川魚市場で5日、今季初めてサンマの水揚げが行われた。全国的な不漁に見舞われる中、昨年より1カ月以上後ろ倒しと異例の遅さとなったが、関係者が待ちに待った第一便。脂の乗りも良く全国屈指のサンマ水揚げ量を誇る“女川ブランド”としては合格点となり、今後の好漁に期待が高まった。同日中には地元スーパーなどに出回り、消費者の元に秋の味覚が届く。
近年、国内のサンマ漁は海況変化などを要因に低調が続く。特に今年は過去最低だった平成29年を下回るペース。8―9月の全国の水揚げ量は約4500トンで、昨年同期比では12%にとどまる。
今季の魚群は例年に比べて極端に遠い海域に分布。通常は道東沿岸に来遊している時期だが、いまだに公海が漁場だ。ただ、大型船の解禁から1カ月半が過ぎて魚群が近付きつつあり、2日には全国で950トンと、一定の数量が揚がった。
今回、女川に初入港した第一榮久丸(船主・今野水産、石巻市船籍)もこれと同時期の9月30日から10月2日未明にかけて操業し、57トンを漁獲。例年この時期、1隻100トンほど水揚げすることを考えれば豊漁と言えないが、不漁の中での待望の初水揚げだ。
今季のサンマは100グラム台の小型が多かったが、水揚げ品は120―140グラムの中型が主体。脂乗りも昨年とそん色ないという。
同船の浅野新二漁労長は「漁期初めから一日で10トン前後の漁獲しかなかったが、ようやく地元にサンマを届けられた。消費者の魚離れを起こさないためにも、今後に期待をかけたい」と話した。
5日は午前5時ごろから水揚げ作業を始め、7時に入札。魚市場職員が水揚げへの感謝と豊漁への望みを込めてあいさつし、買受人らから拍手も沸いた。価格は初日操業分が1キロ当たり480円―380円、翌日分が750―600円。待ち望んでいた地元業者のご祝儀感もあり、例年同時期の2倍ほど高くなった。
同魚市場買受人組合の石森洋悦理事長は「これを弾みに入港が続けば関係者の不安感も吹き飛び、業界が本格的に動き出せる」と期待。同魚市場の加藤實社長は「今季は小型が全国に流通しているが、地元をはじめとする消費者に新鮮でおいしい女川のサンマを味わってほしい」と女川ブランドへの誇りをのぞかせた。
女川魚市場のサンマの水揚げ実績は26年で震災前水準の約2万4千トン。歴史的不漁の29年は約9千トン、昨年は約1万5千トンだった。
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