遠隔操作で水門自動閉鎖 東名で第1号運用開始
県 来年度まで210カ所 震災の教訓踏まえ
広域 政治・経済 阿部 達人 2019年11月12日(火) 8時54分配信県は津波などの被害を抑える水門と陸閘について、遠隔操作による閉鎖の自動化を進めている。県内で東日本大震災時、水門などの閉鎖作業に当たった住民11人が亡くなったことを教訓とした取り組み。来年度末までに約57億円をかけて210カ所を自動化する計画で、10日には県管理の第1号として東松島市の東名水門でシステムの運用を開始した。
防潮堤や河川堤防にある県管理の水門と陸閘はこれまで地元の水防団などが現地で操作を行う必要があった。県は震災後、災害復旧とともに復興計画で遠隔操作システムの導入を位置付けた。国もすでに津波到達範囲の水門に自動閉鎖設備を備え、石巻市でも導入を進めている。
水門への閉鎖指令は仙台・気仙沼・東部の3土木事務所からNTTの有線回線で出されるほか、障害に備えて無線中継局から地震に強い単一無線回線でも発出する。システムは主回線の全国瞬時警報システム(Jアラート)と副回線の県総合防災情報システム(MIDORI)と連動。気象庁が大津波警報、津波注意報・警報、高潮(特別)警報の発表した際に、各事務所に自動で一斉伝達される。
閉鎖する際にはスピーカーと回転灯、電光掲示板により周囲に避難を促す。施設で閉鎖にかかる時間は異なるが、地震発生から津波到来が予測される時間までに完了する設定となっている。また、電源は施設ごとの商用電源とともに、停電時でも稼働できる自家発電機で多重化。通信確認試験を毎日実施し、不具合が起きないよう備える。
東名水門での運用開始に当たり、10日には現地で水防団など地元住民への説明会を実施。県職員がシステムについて解説した後、水門を閉鎖するまでの流れを、時間を短縮して実演した。
県土木部河川課では「津波などの発生時は避難が第一であり、システムにより住民の安全が確保される。日々の点検を含めて安全性を積み重ねていく」と話していた。
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