県水産センター 水温上昇で県沿岸“南の海”?
南方系増で漁獲魚種変化 コウナゴなど冷水性不振
石巻市 政治・経済 石巻日日新聞 2019年9月14日(土) 8時59分配信宮城の海が“南の海”になる?県水産技術総合センターは11日に開いた研究成果発表会で、地球温暖化に伴う海水温上昇の県内漁業への影響を示した。すでに「これまで獲れていた冷水性の魚が揚がらず、獲れなかった南方系の魚が揚がる」という傾向が表れており、センター職員は水産、行政の関係者に「今後さらに温暖化が進むことを前提に対応が必要」と提言した。
県沿岸の近年の平均水温は上昇傾向にあり、江島(女川町)の観測値では1911年―2018年で0.81度高くなった。特に浅い層の水温は気温の影響を受け、秋季を中心に暖かくなっている。
水温上昇は県内の水揚げ動向にも変化を与え、これまで漁獲量が少なかった南方系の魚種が急激に増加。ガザミ(ワタリガニ)は平成22年に県内で年間5トンだったが、27年には518トンと全国一の実績。ブリ類は昨年、明治期の統計開始以降で最も多い水揚げ量となった。
同じ南方系の魚種で、サワラは水揚げ増に加え漁獲時期も早まっている。さらにタチウオは本来、西日本で行う産卵を県周辺海域でも行っているとみられ、水温上昇の進行をうかがわせる。
それ以外にも、マイワシとサバ類は秋以降も水温が下がらないことで県沿岸への分布期間が長期化。30年ほど前の漁獲シーズンは秋の本格化から1月中だったが、現在は春先まで続く。
対照的に冷水性の魚種は水揚げが減少。コウナゴは全国的に不漁で、連続で禁漁措置を取る海域もある。県内も前は年間2千トンを超す水揚げだったが、今年は26トンとまったく振るわなかった。
各浜を支える養殖業も宮城を国内分布の南限とするホタテは、水温が高まれば生息に不適となる。ワカメの幼芽の脱落、ホヤの採卵時期の遅れなど多品目に影響が懸念される。
漁獲が減った分、別の魚種が増えれば全体の水揚げ量は大きく変わらない。しかし漁業者や加工、流通業者の体制は各地域で漁獲量が大きい魚種を軸にしている。水揚げ魚種の変化はこれらの経営にも打撃となる。
センター職員は「新しい魚種に対応できる加工業者の製造ラインをはじめ、漁業者の操業に関して行政的な対応も必要だろう」と見越した。
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