石巻日日新聞

そらうみサイクリング 地元愛好家がツアー提供

自転車でつなぐ地域の魅力 観光推進の新手法期待

石巻市 政治・経済 石巻日日新聞 7月8日(月) 20時39分
海山の自然を満喫した奥松島コース

 健康や環境志向の高まりなどでスポーツタイプの自転車の人気が高まっている。石巻地方は東日本大震災後に始まった復興支援サイクリングイベント「ツール・ド・東北」によって、半島部を中心に自転車で走る適地として知名度を高めた。そうした中、地元サイクリング愛好家が観光客とともに自転車に乗って地域を案内するツアー「そらうみサイクリング」が観光推進の新たな手法として徐々に注目を集めている。

 ツール・ドは昨年3600人が参加するなど地元内外から人が集まる大型イベント。その一方、自転車を通じた小規模で継続的な誘客の仕掛けをと始めたのが「そらうみサイクリング」だ。

 事業を手掛けるのはそらうみサイクリング有限責任事業組合。ツール・ドの運営に携わる地元の個人事業主3人で組織し、自転車販売店クマガイサイクル=石巻市大街道東=店主の熊谷義弘さん(46)を代表に昨年7月に設立した。

 ツアー商品は初心者向けの16キロから長距離の64キロを設定。牡鹿半島を巡る3コースのほかに北上川沿いの内陸コース、奥松島プランもある。催行人数は8人程度までの小グループだ。

 帯同ガイドは事業組合の3人のほか、熊谷さんが代表を務めるサイクリングチーム「じょうぼんズ」のメンバーが担っており、地元住民の知識を生かして各所で解説を行う。

 いずれのコースも自転車で走るだけでなく、地域の協力による体験活動を用意。基本コースの「浜巡り鮎川浜」では、小渕浜と鮎川浜で地元住民が漁業や浜料理を指導。食事には水揚げされたばかりの魚介類を出す。

 「自転車は点在する地域の魅力をつなぐ移動手段でありつつ、その移動自体を楽しめる。車では見過ごすような海の匂いや音も感じられ、気になったところがあれば気軽に立ち寄れる」と、熊谷さんは自転車ならではのメリットを強調する。

 昨年7月の設立からオフシーズンを除く約5カ月間でツアーを利用したのは約80人。ツアー商品の販売だけでなく、石巻圏観光推進機構などの団体と協力したイベントも積極的に開催している。

 こうした活動に着目した東松島市の依頼で作成したのが奥松島プラン。6月22日に初開催した。参加者は宿泊型防災学習施設のキボッチャから出発し、月浜から室浜、鮫ヶ浦や嵯峨見台を巡った。

 途中、自転車を降りて軽いトレッキングを行うなど、各所の自然を満喫。本来は1時間ほどの道のりを約3時間かけた。栃木県から来た渋井寛之さん(46)は「地元の人も知らないような場所を巡ることができ、楽しかった」と満足げだった。

 今後は自転車漫画をテーマにした石ノ森萬画館の特別企画展「弱虫ペダル展」(13日から開催)にも協力。ツアーでは追分温泉などを盛り込む外国人旅行客向けのプランを追加予定であり、初心者向けの電動自転車の導入など幅広いニーズに対応していく。

 熊谷代表は「まだまだ紹介したい地域の魅力があり、それをつなげて提供する役割を担いたい」と展望。法人格を持っているとはいえ現状は有志活動に近く「より高い稼働率で利益を生める体制が構築できれば」と話していた。

最終更新:7月8日(月) 20時39分

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