サン・ファン号 後継船4分の1大で復元 年度内に方針決定
VR映像や解体部品展示
石巻市 政治・経済 石巻日日新聞 2019年2月2日(土) 14時22分老朽化で2021年以降に解体される復元船「サン・ファン・バウティスタ号」の後継策を話し合う検討委員会は1日、維持管理などを考慮し、4分の1大の繊維強化プラスチック(FRP)で復元する最終案をまとめた。県は来年度から基本計画の策定に向けた作業部会を設け、具現化させていく。後継船の新造を巡っては原寸大と4分の1大の2案が示されていた。
検討委は亀山紘石巻市長、浅野亨石巻商議所会頭、後藤宗徳石巻観光協会長、西條允敏まちづくりまんぼう社長のほか、県の関係者や有識者ら計11人で構成。後継船は原寸(整備費約11億7500万円)、4分の1大(同約4億5千万円)の2案があり、委員の中でも意見が分かれていた。
第6回の会合には委員10人が出席。原寸を求める亀山市長、西條社長は「多くの市民が望んでいる」「伝承や教育効果を考えても大きさは重要」と主張。浅野会頭、後藤会長らは「大きさでなく観光全体を考えるべき」「再現度の高い縮小大を整備し、予算を維持費や展示に充てては」と意見。進行役の県を除き、4分の1大が7人、原寸は2人となり、4分の1大を委員会案としてまとめた。
石巻市では、町内会連合会などから原寸での復元を求める要望が出ていた。亀山市長は「非常に残念。要望が通らず私の努力不足」と話した。浅野会頭は「魅力的な施設になるよう今後の作業部会は人選を含めて検討してほしい」と注文を付けた。
県によると、サンファン号が係留されている県慶長使節船ミュージアムは、教育的要素を持った文化施設の位置付けだが、今後は観光面も強化して誘客を図る。後継船が4分の1大となっても解体される現船の部品展示や県の記録映像を活用した仮想現実(VR)シアターで原寸大の迫力を補完していく。
誘客策では海側からの誘導、ミュージアムを軸とした周遊コースの設定、インバウンド(訪日外国人旅行)対策に向けた多言語化標識の整備を検討。県域を越えたPR活動や修学旅行コース化への仕組み作りも視野に入れていく。
県は年度内に方針決定し、次年度から①誘客②現船解体・再利用③展示リニューアル④後継船整備―に分けた作業部会を設置。今秋までに後継策の基本計画を策定する。
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