石巻日日新聞

高砂長寿味噌本舗が事業停止 震災影響し財務悪化 創業117年の老舗

東松島市の企業支援し再始動

石巻市 政治・経済 石巻日日新聞 1月20日(土) 14時44分
20日で事業を停止した大塩の松島蔵

 みそ、しょうゆ製造販売業の(株)高砂長寿味噌本舗(高砂裕子社長)=本社・石巻市三和町=は、20日で事業を停止し、会社整理に入った。負債額は約5億円とみられている。パート3人を含む従業員25人には19日に解雇通知書(20日付)を渡した。創業117年の歴史があり全国的にも名の通っている老舗のため、事情を知った東松島市の企業が同市大塩のみそ製造工場を任意売買で取得。今月末に(株)東松島長寿味噌として新会社を設立。経営陣を一新し、希望する従業員を雇用して味を守り続けていく。

 高砂長寿味噌本舗は明治34年に創業し、戦後の中断をはさんで昭和21年から醸造を再開した。みそ、しょうゆなど調味料の製造と販売を行い、平成16年には資本金を2千万円に増資。翌年、大塩の産業団地に新工場「松島蔵」を建て、みそ製品はここですべて製造するようになった。

 農林水産大臣賞も複数受賞したほか、21年には第1回いしのまき大賞を受賞。東日本大震災の津波で渡波地区のしょうゆ工場が被災したが、高台の松島蔵は大規模な被災を免れた。しょうゆ工場は半年後に再稼働することができた。

 しかし震災の影響で経営は安定せず、売上はピーク時の4割減。原料である国産大豆の高騰も拍車をかけ、流通経費もかさむなどしたため、昨年10月には地元量販店からも商品が消えた。このころから消費者から経営に対する懸念の声も聞かれ始めていた。

 一方で、歴史ある同社が窮地に陥っているとの話を受けた東松島市の企業が全面支援に動き出した。これまでに同社との調整を進め、今月末に(株)東松島長寿味噌(資本金1千万円)を立ち上げることを決定。みそ工場は2月から再稼働させ、通信販売などを再開させながら量販店への納品も検討していく。

 支援企業の社長は「社名は変わるが、今までの味を継承してさらに高みを目指す。いずれは工場を増設し、しょうゆなどの生産も視野に入れたい」と話していた。新会社の社長にはこの企業の社員が就任するという。

 27年まで15年間、3代目社長を務めた高砂光延顧問(69)は「高砂の名がなくなるのは辛いが、長寿味噌ののれんと製法、人は守られた。新しくなる会社を応援してほしい」と話していた。社長と顧問は今月末で引責辞任する意向だ。

 50代の社員は「昨秋には給与支払いの遅延もあった。新しく会社を作ってもらえるのはうれしい。伝統の味が守られたことだけでも救いだ」と話していた。

最終更新:2月1日(木) 16時33分

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