地方創生とSDGs ② 現状 東松島が県内唯一選定
次代への軌跡
石巻市 次代への軌跡 山口 紘史 2019年6月20日(木) 0時42分SDGsとは「持続可能な開発目標」の英語略であり、平成27年の国連サミットで採択された国際社会共通の目標。「誰一人取り残さない」ことを理念に先進国と途上国が一丸で達成すべき「17のゴール(目標)」と「169のターゲット(具体目標)」で構成している。17のゴールはロゴに示されているが、内容の説明はここでは省略する。
国連と聞くと環境・貧困対応を想像しがちだが、SDGsの中身は人口減少、経済衰退など地域が抱える多くの課題を網羅している。
立場や活動領域を超えて、地域づくりを行う際の地域全体の共通言語となりうるのがSDGs。自治体や民間、NPOなど組織を超えてSDGsを使った対話を通して地域全体が同じ方向に歩める。
世界共通の17ゴール、169の具体目標という世界レベルの物差しで地域を眺めてみると、古里の独自性、強みや弱みが見えてくる。強みを生かし、弱みを克服するために未来を描き、新たなチャレンジにつなげていく。これがSDGsを活用した地方創生の姿なのだ。
国は昨年、SDGsの理念に沿った取り組みを推進する地域から、潜在能力が高い全国29自治体を「SDGs未来都市」として選定し、県内で唯一、東松島市が選ばれた。スマート防災エコタウンや市民協働のまちづくりなど強みを生かしつつ、全世代が住みよいまちを作る構図が認められた。
石巻市も来年2月の選定を目指し、準備を進める。選定後、早ければ同10月には「石巻版SDGs」を始動させる予定だ。東日本大震災の最大被災地である同市は、教訓をもとにした復興まちづくりに重点を置いており、他自治体にないアプローチが可能だろう。
一方で、SDGs採択以前から特長あるまちづくりを展開してきたのが女川町。震災後に必要となった高台造成を契機に残土で港周辺の背後地をかさ上げし、町のどこからでも視界が海へ抜ける景観、コンパクトシティーを創出した。若者の意見を反映させてまちに「面白み」を凝縮した。人口減少を悲観せず受け止め、交流人口増につなげた独自性は目を見張る。
このように持続可能な地域づくりには、古里が持つ可能性を見出し、新たな価値を将来につなげる活動が欠かせない。そこで初めてSDGsの考え方が役に立つ。
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