石巻市防災行政無線 地域で異なる運用に疑問 弾力的な活用検討へ
旧市 災害情報限定 旧町 その他も周知
石巻市 政治・経済 石巻日日新聞 2019年6月20日(木) 8時59分石巻市で500弱の屋外拡声子局がある防災行政無線は、平成17年の合併後も旧市町で運用の仕方が異なっており、旧市内では主に全市に伝達する災害時の情報に限定している。旧市内とはいえ広く、市街地部のほか農村部、半島漁村部もあって環境が異なるが、体制的な課題もあってエリアを区切った放送はしていないのが現状だ。先日の市議会で議員から旧市内での弾力的な運用を求める声があり、市当局は検討を進める考えを示した。
議員が例に挙げたのは、旧市内の特定の地域であったニホンジカの有害駆除の周知。実際、旧町の総合支所管内では猟銃を使った有害駆除を行う場所に住民が近づかないよう防災行政無線で事前に注意喚起している。旧市内のこの地域では文書で回覧され、議員は「以前から言われていることだが、旧市町間で異なっている防災行政無線の使い方をできれば同じくしてほしい」と訴えた。
市の管理運用規程では、大雨など警報や津波の注意報、被害が発生するおそれのある場合の避難の勧告や指示など災害に関する住民への通報のほか、国民保護、人命救助、さらに一般行政に関する情報の伝達なども可能。しかし、旧市内の本庁で流しているのは、災害情報や点検放送、一日3回の時報、東日本大震災の犠牲者追悼の呼び掛けなど全市一斉の内容だけだ。市街地部があるため、頻繁に防災行政無線を鳴らせば、住民からの苦情が出かねない。
牡鹿総合支所では、時報以外にも有害駆除や離島航路の欠航、健診、網地島内に限った催しのお知らせと、ほぼ毎日、防災無線を活用している。高齢者の割合が大きいため、インターネットをはじめとした情報通信技術が進歩した現代でも、広く迅速に周知する上でいまだに防災行政無線が最善の手段になっているようだ。同支所担当者は「聞こえないという苦情はあっても、うるさいという人はいない」と話した。
防災行政無線の放送は総合支所が各地域振興課、本庁は危機対策課が担当しており、運用の違いは部署の業務内容の違いでもある。技術的には旧市内でもエリアを絞った放送ができ、本庁各課からも防災に限らない活用の求めがあるという。危機対策課は今後、放送の内容やエリア区分について検証を行うことにしている。
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