サンマ秋の味覚でなくなる? 不漁続きで通年操業へ
女川など受入に慎重 ブランド力低下懸念
広域 政治・経済 石巻日日新聞 2019年4月25日(木) 9時10分秋に操業してきたサンマ漁が今年から通年で可能になり、5月16日には公海上での漁が始まる。日本は近海への魚群来遊前に操業することで、近年減少する漁獲量を上向け、安定供給につなげたい考え。ただし、女川港をはじめとするサンマの水揚げ地は品質への懸念から受け入れに慎重な姿勢であり、規制撤廃がすぐに安定供給につながることはなさそうだ。
国内では以前、年間25万トン前後を水揚げしていたが、平成29年の7万7千トンを底として3年連続で最低実績を更新。女川魚市場でも同年で9500トンと記録的な不漁となった。
この要因として、海洋環境の変化による資源量の減少や、公海上での外国船の大量漁獲などが挙げられている。政府は国内水揚げ量が日本近海への来遊量に大きく左右されているとし、8―12月を漁期とする従来の省令を先月に改正した。
省令改正を受けた公海での漁は、来月16日から約2カ月間で行い、北海道や東北の大型サンマ船18隻が操業。2グループに分かれて2週間交代で漁に当たり、主にロシアの加工母船にサンマを引き渡す。各船が帰港する際、一部のサンマを国内で水揚げする。
5―7月のサンマ漁は、昨年まで3カ年で水産庁補助事業としてすでに実施され、北海道の花咲港を拠点に操業してきた。ただ、この時期のサンマの水揚げ実績のない各港は受け入れに慎重な姿勢であり、通年操業で即、消費者の手元に届きやすくなるとはいえないようだ。
今年は従来の漁期のみの取り扱いとした女川魚市場の加藤實社長は「鮮度と品質が問題なく、買受人から要望があれば受け入れを検討するが、それらがつかめないうちに対応はすべきでない」と早急な判断を避けた。
鮮魚店プロショップまるか=石巻市中央一丁目=の佐々木正彦社長は「旬の一番おいしいものを提供するからこそ地域ブランドにつながっており、品質の劣るサンマが通年で出回っては、季節感を含めたサンマの価値が下がりかねない。店としては従来通りの販売をする」と状況を見る。
5―7月の漁には県内の大型サンマ船も加わる。出漁船を所有する地元事業者からは、「漁期の延長で船員の雇用期間を広げ、不足しがちな人員をつなぐことができる」と効果を期待しつつ、「水揚げで操業コストをカバーできるかは難しいところだ」と懸念した。
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