「みやぎサーモン」GI登録認証 生食用の養殖ギンザケ
石巻日日新聞 2017年6月1日(木) 石巻地方を最大生産地とする県産生食用養殖ギンザケが、産品と産地との結びつきを示す国の地理的表示(GI)登録の認証を受け、1日から運用を開始した。「みやぎサーモン」の名称で全国35の登録産品の一つとなる。水産品としては3つ目の品目で、ブランド価値の向上による業界の振興が期待される。
養殖ギンザケの国内出荷量のうち、約9割が県産。生産量は多いが、輸入品との競合で価格が不安定な面がある。さらに近年は国内産サーモンブームで新規参入する産地も増えている。
こうした中、養殖ギンザケ関連業者などで平成25年に設立した「みやぎ銀ざけ振興協議会」は、ブランド・品質向上策としてGI登録に着目した。GIは品質や社会的評価などが産地と結びつく産品の名称を、知的財産として保護する制度。27年6月から始まり、これまで夕張メロンや神戸ビーフなどが登録されている。登録品はGI認証により、価格や引き合いの増加など軒並み好影響が表れている。
みやぎサーモンは配合飼料で育てられ、水揚げ時の血抜きによる「活締め」処理が施された県産の生食用養殖ギンザケ。刺身などに十分な品質ながら、これまでの流通は加工・調理用が主だったが、登録により生食用としての地位向上に加えて、輸出を含めた販路拡大にも期待できる。
協議会による申請は昨年3月に行い、先月26日に登録された。その直後から事務局への問合せが増え、「電話線が足らないほど」という。首都圏の居酒屋などからが多く、県内の既存販売先の量販店でもGI認証に合わせたキャンペーン開催に動いている。
1日には石巻魚市場で「みやぎサーモン」とGIマークを記載したラベルを付して、初めてギンザケを出荷。入札価格で従来との違いは見られなかったが、協議会委員で、同魚市場の須能邦雄社長は「まだGIが消費者に浸透していないため、登録はあくまでスタート地点。業界の意識も高めながらPRに取り組み、ブランド価値を育てていく」としていた。
なお、石巻独自ブランドの「金華ぎん」があるが、今季からはみやぎサーモンと区別するため、氷による締め処理品を指すことにしている。
【写真】「みやぎサーモン」とGIマークが付された養殖ギンザケ
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