石巻日日新聞

「石巻古地図散歩」発刊 よみがえる地域の歴史と姿

江戸~昭和期13枚を掲載 郷土への思い高める一冊に

石巻市 教育・文化 石巻日日新聞 6月17日(土) 17時34分 配信
石巻地方の成り立ちがわかる 「石巻古地図散歩」

 江戸時代から昭和30年代までの13枚の石巻地方の地図や絵図などを一冊にまとめた「石巻古地図散歩」がこのほど発行された。東日本大震災での被災を免れた石巻市内の旧家に残る資料や、東北大学図書館、仙台市立博物館などが所蔵する地図を掲載している。企画・編集した石巻アーカイブ地図研究会は「一枚一枚に地域の歴史とあゆみが詰まっている。手に取ることで古里への思いを感じてもらえたらうれしい」と話している。

 「石巻古地図散歩」は郷土史家の邉見清二さん(69)らが中心となって石巻アーカイブ地図研究会を立ち上げ、編集した。地元の旧家に所蔵されていた数々の資料が震災で失われたことから、残ったものを後世に伝える大切さを痛感。同時に、市民に地域への興味を深めてもらい、郷土の歴史について語り継ぐ人材を育てる取り組みとして制作を思い立ったという。

 16日に石巻市役所内記者室で同書の説明を行った邉見さんは「津波が川沿い、海沿いの地域に打撃を与えた。建物の復元は無理でも、この機会に地図を公表して、次の世代に伝えたい」と制作目的を語った。

 企画・編集に携わった同会の小野寺豊さん(57)は「地域の姿を後世に残す地図が故郷の愛着となり、埋もれた資料発掘につながれば」といい、資料提供者でもある菊田貞吾さん(71)も「過去の石巻の繁栄が分かり、いい時代だったことが地図に表れている。小中学校の副読本と一緒に読めば、親子での会話が進む」と期待した。

 収録されている古地図は13枚。時代は江戸3枚、明治3枚、大正1枚、昭和6枚で、このうち個人所有は11枚(初公開)。1枚目の「奥州仙台領国絵図」(1697年、元禄10年)は、現存する地図としては、石巻地方の村々が読み取れる最古のもの。120以上の村があったことがわかる。

 また、「石巻絵図」(1839年、天保10年頃)は石巻、門脇、湊、蛇田村の街並みが詳細に描かれた鳥瞰図で、羽黒山下には現在も地名が残る「鋳銭場所」がある。堀、竹垣、板塀で厳重に囲まれていた様子がうかがえる。

 昭和に入ってから詳細な市街地図が刊行されるようになった。旧石巻市が市制施行された1933年(昭和8年)の市街全図や翌年の大日本職業別明細図は、裏面に地域の概況のほか企業、商店などの広告が掲載されている。往年の名だたる商工業者や現在も残る企業、店が記されており興味を引く。

 「石巻古地図散歩」はA4判52ページで全ページカラー、2500円(税込)。1千部印刷し、900部を一般販売、100部は国会図書館などに寄贈する予定。ヤマト屋書店、金港堂、イオンモール石巻内の未来屋書店、石巻ニューゼなどで取り扱っている。

 研究会は、発売記念のパネル展示会を7月1日、2日に未来屋書店で開催する。今後は絵はがきや写真集の販売も意欲的だ。

最終更新:6月17日(土) 17時34分

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