石巻日日新聞

学生意識・希望調査 4割「別の場所に住みたい」

石巻市 課題に雇用と交通

石巻市 政治・経済 近江 瞬 2019年12月6日(金) 8時51分
高校生、大学生の卒業後の居住意向調整結果

 石巻市は、5日までに市内7高校と石巻専修大学に通う3年生を対象とした学生向け意識・希望調査の結果を公表した。将来の居住意向に対する質問では「別の場所(市外)に住みたい」と答えたのは39.5%。平成27年度に初調査した25%から14.5ポイントも増えるなど地元離れの意識が顕著に表れた。市外に出たい理由と、いずれ市内に戻るために必要なことの問いでは、ともに「就職先」「交通の利便性」が重視された。

 調査は、人口減少対策で市が27年に策定した「まち・ひと・しごと創生総合戦略」の一環。若い世代が就職や地元居住に抱くイメージを調べ、人材定着に向けた施策を検討するため毎年調査。高校生1199人、大学生116人が答え、回収率は83.7%となった。

 高校生の進路希望は「進学」59.9%(前回61.8%)、「就職」38.1%(同37.4%)で就職希望の割合が年々微増している。進学希望先は「市内」がわずか6.7%で、無回答を除いた92.8%は「市外」を選択。半数以上が「興味がある学部・学科がない」を理由とした。

 一方、就職先で「市内」を選んだ割合は初回調査時の57.5%から42.5%に減少。市外を望む理由は「市外に出たい・親元から離れたい」という都会や自立への憧れが最も多く、次に「就職したい業種・職種・雇用形態の求人がない」が続いた。

 高校・大学生を合わせた卒業後の居住意向では「石巻市に住みたい」「進学で一旦離れても就職時には戻りたい」「就職等で一旦離れてもいつか住みたい」の3項目合計の「市内居住希望」は昨年から51.6%と横ばいだが、「別の場所に住みたい」と明確に答える数は年々増え、4年前の25%から39.5%に増加。3年連続で全ての選択肢のうちで最多となった。

 市内に住みたい理由は「親、兄弟や親戚が近くにいる」が21.5%で筆頭。前回まで最も多かった「住み慣れた地域に愛着がある」は前回比約10ポイント減の16.3%で愛着低下が危惧される。

 逆に市外に出たい理由は「進学・就職先がない」が過去同様に最も多く、いずれ市内に戻ってくるために必要なことでも「働ける場所が増えること」「公共交通の利便性向上」がともに2割を超え、雇用のミスマッチと交通不便が人材流出の一要因となっていることが分かった。

 市復興政策課は「進学や就職が大きな転機になる。地元の良さやものづくり、水産業など人材を必要としている基幹産業について学校、家庭、行政が連携してPRし、愛着を高めていきたい」と話している。

最終更新:2019年12月6日(金) 8時51分

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