石巻日日新聞

旧門脇小被災本校舎 手つかずの姿見納め

遺構整備で一部解体

石巻市 政治・経済 石巻日日新聞 2019年10月31日(木) 8時43分
6年4カ月ぶりに覆いが撤去された旧門脇小校舎

 石巻市は旧門脇小学校を東日本大震災の遺構として保存するための工事に着手し、本校舎を覆っていた灰色のシートが6年4カ月ぶりに外された。津波火災の爪痕を残す3階建て校舎は一部が解体されることになっており、手つかずの姿を見られる期間はわずかだ。

 被災校舎がシートで覆われたのは、平成25年6月。校舎整備で手狭になった市立桜坂高校の一時的なグラウンドとして旧門脇小の校庭が使用されることになり、安全対策として囲われた。

 震災遺構整備に当たっては、幅約107メートルある本校舎のうち、中央部の約67メートルを左右対称になるように保存し、両端の2教室分が解体される。工事開始が見込まれる11月上旬以降まで、敷地外から現状の姿が見られる。

 市は令和3年度前半の公開を予定。安全上、本校舎内に人を入れず、北側に新設する観察棟から見学することになる。また、震災前の学校生活や被害だけでなく、市全体の被災状況や教訓を伝えることとし、既存の特別教室棟を改修して企画展示室などを配置。現在の体育館には避難所を再現するほか、応急仮設住宅の実物を展示し、市民利用スペースも置く。

 住民に本校舎全部の保存を求める声があるものの、市は維持管理の課題などから部分保存を決定。近くで整備中の南浜津波復興祈念公園と関連付け、災害を伝承していく。

最終更新:2019年10月31日(木) 8時43分

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