県議選、町長選無風で幕 無投票拡大に危機感 選挙権生かせず
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広域 社会 横井 康彦 2019年10月28日(月) 8時51分県議選は18日に告示され、各地で舌戦が展開される中、石巻・牡鹿、東松島の地元2選挙区は現職のみの立候補となり、無投票で幕を閉じた。石巻・牡鹿では、元職の動向や無競争を拒む市議の動きも注目されたが、ふたを開ければ、前身の旧石巻選挙区(牡鹿除く)から数えて一般選挙では24年ぶり、東松島は補選を除けば、平成19年から4回連続で無風。22日告示の女川町長選も3回連続で無投票となった。
石巻・牡鹿選挙区は次回選挙から定数が1減されるため、5席の争いは今回が最後。年明けごろは元職が再選に向けて動きを見せていたが、支援者を固めるのに苦慮し、再起を断念した。
立候補予定者説明会に姿を見せ、無競争に異を唱えた石巻市議もいたが、届け出書類の予備審査に訪れることはなく、地域からの新人擁立も鳴りを潜め、無風状態が長らく続いたことで有権者の関心も薄れた。告示日を迎えても定数を上回らなかったため、「選べない選挙」が現実となった。
1日限りの遊説を終えて事務所に戻った立候補者は万歳の有無も含め、笑顔よりも複雑な表情が目立った。自民党の齋藤正美氏(64)は「選挙戦はなかったが、当選者として一層の責任を感じる」、佐々木喜蔵氏は(70)は「無競争は非常に残念。若い人々が政治に興味関心を持ち、参画してもらうべきだった」と振り返った。
立憲民主党の坂下賢氏(57)は「投票は本来あるべきもの。選挙期間中に訴える機会がなくなってしまうことは問題」と嘆いた。共産党の三浦一敏氏(69)は「各政党(系)議員がそれぞれの視点で地域課題に取り組んでおり、バランスが取れている現れ」と均衡を強調。無所属の本木忠一氏(62)は「選挙はしたかったが、全国的にも議員の成り手がいない現状。若い人は高い志を持ってほしい」と期待した。
県議は地方と県を結ぶパイプ役。石巻市の亀山紘市長は「選挙で審判を受けることは大切だが、今回の無競争は、やむをえない事情があると思う。次回は1減となり、さらに新人が立候補しにくい状況と思えるが、選挙で負託を得ることが政治家には大事なこと」と語った。
◆有権者に選択肢を
「議員報酬だけでは生活が厳しい」「行動力が求められ、後援会の立ち上げや自らのアピールなど簡単なことではない」―。
議員の成り手不足は、全国的な課題。そうした中、女川町議選(定数12)には現職8人、新人6人が名乗りを上げ、27日の投開票に向けて少数激戦を繰り広げる。
県議選のほか、女川町長選も無競争となり、当初は町議選も無風がささやかれた。現職町議は「どれも無投票はおかしな状況」と指摘。町議選は新人の擁立で無風は回避され、町内の有権者には当たり前の選択権が与えられており、あす審判が下される。
議員は住民の代表者であり、県議は地方では解決できない問題に対し、県政の場で訴えていく立場。復興事業も大詰めとなる中、その先となるポスト復興をにらんだ政策提案が求められ、むしろこれからの手腕が問われている。
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