石巻日日新聞

県議選 秋決戦へ現職臨戦態勢

事務所開設の準備進む 元職、新人動き見えず

石巻市 政治・経済 石巻日日新聞 2019年8月30日(金) 9時17分

 任期満了に伴う県議選(10月18日告示)は10月27日の投票まで2カ月を切った。定数5の石巻・牡鹿選挙区に現職5人、定数1の東松島選挙区には現職1人が立候補する見込み。秋決戦に向け、今月末から来月にかけて後援会事務所を設け、同時に県政報告会や総決起集会の調整を進めている。元職、新人の動きは見えないが、各陣営は万全の体制を敷いて臨む。

 石巻市、女川町で構成する石巻・牡鹿選挙区には、いずれも現職の本木忠一氏(61)=4期、自民党・県民会議=、齋藤正美氏(61)=6期、同=、佐々木喜蔵氏(70)=4期、同=、三浦一敏氏(69)=2期、共産党県会議員団=、坂下賢氏(57)=5期、みやぎ県民の声=の5人が再選を目指す。

 議会運営委の委員長を担う本木氏は、頻繁に沿岸部を訪れるなど現場主義を徹底。早期復興や人口減少対策など政治の力が必要な地域に重点を置き、有権者の声を聞く。9月5日に同市大街道東で事務所を開く。無所属での出馬を予定する。

 大震災復興調査特別委の委員長を務める齋藤氏は、党公認を得て組織を固める。“完全復興”に向けて新たなまちづくりと地元産業の再興を主張。定期的な地区懇談会で住民と膝を交えた話し合いの場を設け、民意を吸い上げる。事務所は9月中旬に構える見込み。

 同じく党公認の佐々木氏は、震災復興と合わせ、復元船サン・ファン・バウティスタ号の在り方を提言するなど観光振興に注力。現職のトップを切り、31日に同市中央二丁目で事務所開きを行う。後援会組織をフル回転させ、臨戦態勢を整えていく。

 10月の消費税増税の中止を掲げる三浦氏は、被災者の代弁役を強調しながら沿岸部の復興と在宅被災者の支援を訴える。一次産業の振興や教育分野での課題解決にも声を上げて支持拡大を狙う。事務所は9月16日、同市開北一丁目に置く。

 旧民進党系組織「みやぎ民主連合」で副代表を担う坂下氏は、インフラ整備など震災復興を全面に押し出した活動を続けてきた。連合宮城の推薦を得ており、無所属での出馬となる見通し。9月8日に同市相野谷に事務所を構え、10月6日に総決起集会を行う。

 東松島選挙区は平成29年の補選で初当選した高橋宗也氏(57)=1期、自民党・県民会議=のみで、他に動きはない。党公認の高橋氏は、復興と地方創生を柱に観光交流や農漁業などの産業再生に注力。現状課題に沿った事業提案も行ってきた。9月3日には県政報告会を開き、9月中旬以降にも同市小松に事務所を設ける。

 石巻・牡鹿、東松島の各選挙区とも現職が警戒するのは元職、新人の動き。表面化していないだけに、ある現職は「無投票もささやかれているが、告示日まで油断できない」と気を引き締める。別の現職は「議席は有権者の評価。選挙は行われるべき」と訴える。

 18歳選挙権が導入されてから初の県議選だが、震災後は国、地方を含めて投票率は伸び悩む。有権者からは「市議と違って県議は距離感があり、仕事が見えにくい」との声もあるが、復興完結は県事業が鍵であり、チェック機能を果たす県議の役割は大きい。

 石巻・牡鹿選挙区の選挙人名簿登録者数は、令和元年6月で12万9013人(男6万2445人、女6万6568人)。東松島選挙区は3万3649人(男1万6437人、女1万7212人)となっている。

最終更新:2019年8月30日(金) 9時17分

新着記事