石巻日日新聞

ローマ法王11月に来日 手紙送り石巻訪問熱望

古里支援で都内出版社 震災記録英訳本も寄贈

広域 社会 石巻日日新聞 2019年7月12日(金) 9時39分
英訳されローマ法王に贈られた書籍

 11月下旬に予定されているローマ法王の来日に合わせ、東日本大震災の被災者が執筆した書籍を出版している東京都の(株)ヒロエンタープライズ(谷代浩代表)は、バチカンともかかわりの深い慶長遣欧使節団の出帆の地でもある石巻市への来訪を呼び掛ける取り組みを進めている。谷代さん(48)は「法王が石巻を訪問されれば、被災地の再生、発展に寄与できるはず」と話している。

 谷代さんの本家が宮城県で幼少期に何度も訪れた縁などから同社では震災後、震災の記憶を後世に残そうと被災者が執筆した書籍の出版を企画した。平成26年に10人による手記や歌集など10作を電子書籍などで刊行。東松島市在住の後藤新喜さんや女川町に暮らしていた歌人の佐藤成晃さん、石巻市在住の相澤陽子さんら石巻地方ゆかりの人物も名を連ねている。

 書籍の刊行後に同社は8作を翻訳。翌27年3月、世界各地で自然災害が多発する中で防災、減災に役立ててほしいと英訳本を法王に贈った。同社にはその後、東京都内の法王庁大使館を通じ、補佐から「(法王は)ご親切な手紙と贈り物を受け取られお喜びです。このような思いやりあふれる行いをされた献身的なお心を高く評価されておいでです」との手紙が届いた。

大使館を通じて届けられた手紙
大使館を通じて届けられた手紙

 こうした中、法王が11月に日本を訪問される予定であることが分かり、同社では最終調整が進む東京都と被爆地である広島県、長崎県に加え、東日本大震災からの復興へ向かう被災地にも訪れてもらえるよう、5月には法王に宛てた手紙を新たに送った。

 手紙ではバチカンと石巻のつながりなどを紹介。日本からバチカンへ初めての使節団である慶長遣欧使節団が出帆した月浦、復元船サン・ファン・バウティスタ号のあるサン・ファン館などへの訪問を訴えた。

 谷代さんは「法王が被災地を訪問し、祈りを捧げてくださることには大きな意味があり、日本とバチカン両国の絆を深めることができる」と強調。その上で「法王が訪問されれば国内外からの観光客も呼び込むことができ、被災地の再生にもつながるはず」と古里宮城と石巻の復興に心を寄せている。

最終更新:2019年7月12日(金) 9時42分

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