石巻日日新聞

30年度ふるさと納税実績 多彩な返礼品でアピール

石巻市 2年連続で増

広域 政治・経済 石巻日日新聞 2019年6月7日(金) 11時08分

 東日本大震災から8年目の平成30年度に石巻市にあった「ふるさと納税」による寄付総額は約2億5千万円となり、寄付者への返礼品の送付を再開した26年度以降で3番目の金額となった。東松島市は金額、件数とも過去最高を更新。女川町は前年を下回り、三者三様の実績だった。財政面で国の復興支援が先細りしていく中、各市町は寄付を貴重な自主財源として期待。返礼品による地域のPRへ向け、魅力的な地場産品の選定や企画に努めていく考えだ。

◆石巻は返礼品が豊富

 石巻市の30年度寄付総額は2億5393万円で、前年比5%(1244万円)増。件数は12%(2142件)減の1万5589件となった。27年度に件数、金額とも最高を記録したが翌年度に半減。寄付の申込みができるインターネットのポータルサイトを増やしたほか、首都圏でのPRなどで金額は2年続けて増加している。

 30年度は件数こそ前年度を下回ったが、1件当たりで計算した平均寄付額は前年を3千円上回る約1万6千円。これは返礼品を再開した26年度以降で2番目の高さだ。氏名非公表だが、著名な個人から500万円の大口寄付もあった。

 返礼品は定期に入れ替えを行うなど、魅力ある特産品を用意。5千円から100万円まで寄付額に応じて9コースあるが、全国的に流行しているサバ缶のほか、たらこ・めんたいこなどの水産加工品がもらえる1、2、3万円の寄付コースが人気という。

◆東松島はネットPR

 東松島市の寄付総額は約1億6829万円で、過去最高だった前年度比で17%(2389万円)増えた。件数も過去最高の1万1965件で、前年から19%(1884件)伸びた。

 同市への寄付額は右肩上がりで推移し、特に29年度は前年度比2.6倍となり、1億円の大台を突破。インターネットでのPRを強化したほか、返礼品に全国的知名度の牛タンを加えたことや、一部商品内容を充実させて1万5千円のコースを新設したことなどが増加の要因という。

◆女川は1件単位高額

 女川町の寄付件数は前年度比30%減の455件、金額は37%減の1561万5千円。いずれも震災後最も多かった27年度の半分にとどまった。担当課は「西日本7月豪雨の被災自治体に寄付が集中したのだろう」と話す。

 件数では地場産品のギフトセットなどがもらえる2万円の寄付が最も多く、全体の3割を占めるという。これ以上の高額寄付者もおり、1件当たりの寄付額は3万4千円。減少傾向にあるものの、石巻市と東松島市(1万4千円)を上回る。

◆応援される自治体に

 各市町は寄付金を基金として積み立て、翌年度以降の福祉や子育て、防災、産業など寄付者が指定した分野の事業に活用。このうち石巻市は29年度、保健福祉、産業、教育の順に寄付が多く、図書購入や妊娠・出産祝い品贈呈、さらには各種イベント経費、農地を荒らすニホンジカ駆除などにも役立てた。東松島市は保育所、小中学校の防犯灯の維持管理費、松くい虫防除などに充てている。

 寄付金が貴重な財源なのは被災地以外も同じで、全国で自治体間の競争が過熱。6月から過度な返礼品を規制する新制度に移行されたが、ルールを守ってきた3市町への影響はほぼないようだ。石巻市地域振興課は「制度の趣旨を踏まえ、寄付者が応援したくなる自治体を目指したい」と話した。

最終更新:2019年6月7日(金) 11時09分

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