石巻日日新聞

石巻市 (仮称)複合文化施設 展示実施設計まとまる

原始からの歴史追体験

石巻市 教育・文化 石巻日日新聞 2019年3月29日(金) 23時32分
常設・企画展示室の全体利用イメージ

 石巻市が平成33年2月末の開館に向け、開成地区で整備を進める(仮称)市複合文化施設の管理運営計画と展示実施設計がまとまり、27日に市役所で開かれた市民懇談会で承認された。展示は「大河と海との関わりが育んだ、石巻人スピリットの再発見と継承」がコンセプト。石巻の原始から近現代までを映像、展示物、体験でたどる。石巻出身の彫刻家高橋英吉の作品と毛利コレクションも常設展示する。

 同施設は、震災で被災するなどした市民会館と文化センターの代替施設で、大小ホールと生涯学習、博物館の3機能を備えた文化芸術拠点。管理運営計画は有識者らを交えた市民懇談会のほか、公開型のワークショップで意見を募ってきた。

 ホールと生涯学習ゾーンは2月に計画素案が出されていたが、今回は博物館ゾーンの素案を提示した。資料収集、保管(保存)、調査研究、展示、教育普及の5本柱とし、企画展などはホールゾーンと連動させ、複合文化施設の利点を生かす。運営は調査研究の継続性に配慮し、市の直営となる。

 また、コンサルティング業の(株)乃村工藝社=本社・東京=が手掛けた展示実施設計も説明。展示の役割を①未来を描くヒント②共感の場③創造の舞台―の3つととらえ、旧町を含めた市全体の歴史を原始、古代、中世、近世、近現代の5つの時代に分けて伝える。

 具体的には、原始では牡鹿給分浜の中沢遺跡の発掘現場を模した展示で縄文時代の暮らしを紹介。古代では河北・桃生地区の桃生城跡、中世では伊達氏に至るまで400年にわたり続いた戦乱の時代を振り返る。近世では北上川改修や鋳銭場などを4つの切り口で明らかにし、近現代は「マチ」と「ハマ」に分けて明治・大正・昭和の石巻を解説する。

 さらに彫刻家高橋英吉の「海の三部作」を展示し、毛利コレクションは常設と企画を織り交ぜて業績を紹介していく。

 今後、市は管理運営計画を策定し、6月の市議会定例会に提案する。9月はホール・生涯学習ゾーンの指定管理者を正式決定する見通し。

最終更新:2019年3月29日(金) 23時32分

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