「震災遺構」④ 風化防止と連携が鍵
次代への軌跡
石巻市 次代への軌跡 熊谷 利勝 2019年11月30日(土) 9時03分石巻市は旧門脇小学校と旧大川小学校を東日本大震災の被害や教訓を伝える遺構として整備する。供用開始は発災から10年が過ぎた令和3年度の予定。県内ではすでに仙台市の旧市立荒浜小学校校舎、気仙沼市の県立気仙沼向洋高校旧校舎などが遺構として整備され、多くの人が足を運ぶ。後発の市にはどれほどが訪れるのだろうか。
門脇小は本校舎を部分保存し、新設の観察棟から内部を見学する。特別教室棟や体育館を改修して防災を学ぶ場として活用。総事業費は当初よりも膨らんで10億5千万円弱、耐用年数は30年ほどだ。市は大川小と合わせた民間の指定管理を検討し、はっきりとした維持費は示していない。
南側では国、県、市が「石巻南浜津波復興祈念公園」を整備している。門脇小を残す背景には祈念公園との関係が深い。市は本校舎を部分保存とした理由に維持管理費の課題とともに「見たくない人への配慮」を挙げていたが、祈念公園の検討ではむしろ門脇小の見え方が重視されている。
その校舎は整備が始まるまで、6年余りシートに覆われていた。地元かどのわき町内会長で、全部の保存を求める本間英一さんは「隠したことで、多くの人に遺構として認識されていないのでないか」と懸念。このまま整備されたとして人は来るのかどうか。市内で伝承に関わる人は「祈念公園次第だろう」と見る。
県内では、荒浜小の震災遺構が平成29年4月30日から公開されている。仙台市によると、来館者数は増加傾向。今年3月に気仙沼市の震災遺構・伝承館が開館したことで減ることを予想したが、「むしろ相乗効果で増えている」という。
職員は地元を知る元住民を採用。さまざまな人と一緒につくる展示を大事にし、口コミによる繰り返しの団体利用が多い。建物は少しずつ劣化しているが、遺構の性質上、修繕もままならない。将来も内部に見学者を入れることができるのかが課題。今後の来館者数は未知数で、「だからこそ震災を風化させないようにしたい」という。
南浜祈念公園の中核的施設は県内伝承施設のゲートウェイ(玄関口)の機能を持たせるという。遺構の維持には多様な人の関わりと、各施設間の連携が重要な視点になりそうだ。
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