石巻日日新聞

女川原発2号機 再稼働前提審査に「合格」

規制委 安全対策書案了承 迫る自治体の合意判断

広域 社会 石巻日日新聞 2019年11月29日(金) 8時48分

 原子力規制委員会は27日、東北電力女川原子力発電所2号機の原子炉設置変更許可申請書の審査結果案をまとめ、再稼働の前提となる新規制基準適合性審査に事実上の合格判定を出した。東日本大震災の被災3県の原発では初の事例。同社の原田宏哉社長は「一つの大きな節目」と談話を出した。今後は意見公募などを経て最終判断されるが、立地自治体にも是非が問われる。

 申請書は、原子力施設の運転状況の変更に際する安全審査で必要な書類。女川2号機に関しては再稼働の基本計画に相当し、同社は平成25年12月に最初の申請を出した。

 その後、170回以上に及ぶ審査会合の内容を踏まえ、安全対策の多重化などを盛り込んだ補正書を今年9月に提出。さらに2度の再補正を経た内容が規制委の審査書案で新規制基準に「適合する」と評価を受け、27日の委員会で了承された。

 原田社長は「適合性にとどまらず、より高いレベルでの安全確保へハード・ソフト対策に着実に取り組む。再稼働は地域の理解が何よりも重要。一人でも多くに理解されるよう努める」と談話を発表した。

 正式な合格は審査書案に対する意見公募(28日―来月27日)後に判定。同社は来年度末までの安全対策工事の完了を目指すが、再稼働には立地自治体の県、石巻市、女川町の合意が必要となる。

 事実上の合格判定を受け、須田善明女川町長と亀山紘石巻市長はそれぞれ「引き続き規制委に厳格な対応を求め、東北電には安全最優先の工事、住民への情報提供を要請する」と談話。UPZ(原発立地30キロ圏内)の渥美巖東松島市長も2市町と同様に動向を注視する姿勢を示した。

 村井嘉浩知事は26日の定例会見で「再稼働の意思決定をする段階にないが、判断には県議会や石巻、女川ほかUPZを含む各市町村長の意見を聞く」と発言していた。

最終更新:2019年11月29日(金) 8時48分

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