石巻日日新聞

リスクも背負う 重いカバン 健康、安全確保最重視 東松島市・議会で議論

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東松島市 教育・文化 山口 紘史 11月18日(月) 8時42分
児童生徒の安全通学に臨機応変な対応が求められている

 「通学カバンが重すぎる」―。そんな声を受け、文部科学省は昨年、学校に一部の教科書類を置いて帰るいわゆる「置き勉」を事実上認める事務連絡を全国の教育委員会に通知した。9月にあった東松島市議会定例会で議員から改善状況で質問があり、市教委は「負担軽減を指示している」としたが、地域の児童生徒や保護者の声に耳を傾けるとまだ議論の余地がありそうだ。時代とともに変化する教育現場。子どもが元気に通えるよう臨機応変な対応が求められている。

 子どもの学力向上に向け、教育現場では授業の予習復習を家庭で毎日行うことを児童生徒に求めている。一般的に家庭学習は教科書を用いるため、一部の小中学校では置き勉を認めず、原則、教科書は自宅に持ち帰るよう指導してきた。

 近年は「脱ゆとり教育」による学習指導要領の変更で、小中学生の学習量は増加。教科書の厚みも増し、副読本の追加も重なって以前より通学カバンの重量がかさんだ。

 大手ランドセルメーカーのセイバン=兵庫県=が計2千人を対象に調査した「ランドセルを背負った時の体の痛み」に関するアンケートでは「痛みは特になし」と答えた子どもが7割だったのに対し、3割は首回りや腰などに苦痛を感じていた。

 こうした背景と実情を鑑みた文科省は昨年9月、各校や教育委員会に一任していた置き勉に対して「家庭学習に支障ない程度で、各校の実情に合わせ検討してほしい」と、事実上、置き勉を認める方針を示した。

 東松島市議会では手代木せつ子議員から置き勉状況と取り組みについて質問があり、市教委は「カバンの重さが通学の負担にならないよう各校に指示した」と答弁し、全校対象で行った重さ調査結果も公表した。小学生は学年が上がると重くなる傾向。中学生は学年による重さの差はないが、部活動の携行品を含めると重量は一気に増え、最重量の生徒は13.2キロだった。

 石巻日日新聞社の取材に手代木議員は「荷物の適正重量は、体重の10―15%と言われている。このままでは子どもの健康面と通学の安全面が心配」と懸念した。

 市教委は「家庭学習の頻度が低い書写や美術などの教科書、教材は教室保管を促しており、ロッカーの広さも十分」と言うが、実情は各校で違う。赤井の中学3年男子は「置き勉の話はあるが、ロッカーの区画は限られている。自主勉強で使う可能性もあり、ほとんどの人は持ち帰っている」と話す。

 同市大曲の小学5年女子は「置き勉は認められているが、習字道具も絵具セットも学校で洗うことが禁止されているので、結局はその都度持ち帰る。家から学校まで約3キロ離れており、肩が痛い」と吐露した。

 重い荷物を背負った状態では、転倒した場合の衝撃も大きい。次男を中学校に通わせる赤井の女性(45)は「かばんは教科書でぎっしり。部活の荷物は自転車の前かごに詰めており、運転のふらつきもある。どれも必要だと思うが、転倒した時のけがや衝撃は心配」と話した。

 こうした児童生徒や保護者の声に志小田美弘教育長は「通学時の児童生徒の安全確保は重要。校長会などを通じて引き続き指導していく。カバンの重さや通学距離の観点でも大変な子どもは個別対応も必要と思う」と認識を示した。

◇   ◇

 教育現場は時代とともに変化し、置き勉についても柔軟な対応が求められる。ただし子どもの学力向上には家庭学習が欠かせないのも明白。置き勉を許容しすぎても、また新たな問題が生じる。教委と学校、保護者間で実情に合ったルールを決め、認識を共有することが大切だ。

最終更新:11月18日(月) 8時42分

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