石巻日日新聞

台風19号で広範囲冠水 石巻 大雨への弱さ露呈

排水ポンプ15基一時停止 「これは人災」と憤りも

石巻市 政治・経済 熊谷 利勝 11月9日(土) 8時50分
浸水した沢田の千葉さん方。茶の間の床を撤去し、扇風機と暖房で乾かした(10月26日)

 先月12日から13日にかけての台風19号で石巻市は広い範囲で冠水し、改めて大雨への弱さを露呈した。東日本大震災後の地盤沈下と堤防整備で、たまりやすい水を強制的に排除する必要があるが、排水施設整備は途中。記録的な雨に対して仮設のポンプの能力を超え、一時的に稼働できなくなったところもあった。

 概況調査で当初に見込まれた市内の浸水被害は、住家、非住家を合わせて床下9216件、床上321件の計9537件。これは県内で最も多い。床上浸水は先月末時点の罹災証明書の申請が484件となっており、概況調査を上回る。

 万石浦に面した渡波地区の沢田でも多くの住家が浸水。千葉勝衛さん(75)方では先月12日の午後10時ごろから水が入り始め、床上10センチ以上になった。妻の幸子さん(69)は「あの夜は長靴を履いてベッドに入った。浸水は震災時の大潮以来」という。

 周辺では「これは人災ではないか」との声も聞かれた。山を背負ったこの地区は、震災後、万石浦沿いに堤防が完成。道路も高くなり、低い住宅地に水が流れ込みやすくなっている。市の仮設ポンプが稼働したが、排水が追いつかなかった。

 24時間降水量(泉町)の観測史上1位は、震災のあった平成23年9月21日の231ミリ。今回は2番目の220ミリだったが、より広範囲で冠水した。どちらも台風の雨だが、降り方が異なった。23年9月は長い時間に強い雨と弱い雨を繰り返したが、今回は午後6時から翌朝3時まで1時間に20ミリ以上の強い雨が降り続き、9時間で200ミリを超えた。

 市は震災後、来年度の完了を目標に17カ所の雨水排水処理施設の改修、新設を進めていて、整備が終わっていない地域では仮設ポンプで対応。それでも大雨のたび、ほとんど同じような場所で冠水が起きている。

 今回も河川、沿岸部で85台が稼働していたが、多くの場所で排水しきれず、絶対量が不足していた。さらには17基ある旧北上川左岸の不動町で9基、渡波地区で35基中6台の少なくとも15基が一時停止する事態が起きた。

 市は「事前に点検して燃料を満タンにしていた」というが、停電や漏電ほか、冠水で給油に行けず燃料切れしたことなどが原因。仮設ポンプの増設や水位が下がってからの給油で対応した。多くは大雨のピークを過ぎた午前4時以降の一時停止であり、市はこれで浸水被害が拡大したとは考えていないが、冠水の解消に時間を要したことは認めている。

 亀山紘市長は6日の定例記者会見で「地盤沈下し、堤防ができてくる中で内水排除が課題。雨に対して弱いまちになっており、排水ポンプ場をできるだけ早く整備したい。被害に遭った人にはお詫び申し上げる」と述べた。

 市は1時間当たりの計画雨量45.6ミリ(今回40.5ミリ)でポンプ場の整備を進めており、すべて完了すれば時間雨量が最大40.5ミリであった今回規模の雨には対応できると考えている。だが、新設された折立第1、第2ポンプ場も周辺が冠水。流木がポンプ場に入る水を妨げたためだ。

 雨の降り方も以前とは変わってきており、亀山市長は「排水ポンプ車の導入も視野に入れ、今後起こりうる災害へ市独自の対策をしないといけない」と話した。

最終更新:11月9日(土) 8時50分

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