石巻日日新聞

献上品に「松島純2号」 石巻地方唯一 東松島の白菜

葉肉厚で甘み強く 皇位継承の大嘗祭へ

東松島市 政治・経済 山口 紘史 2019年11月2日(土) 10時58分
献上品の一つに選ばれた「松島純2号」と生産者の遠藤組合長

 天皇陛下の皇位継承に伴い、11月14日から行われる祭祀「大嘗祭(だいじょうさい)」で、全国から献上される産品の一つに、東松島市のやもと蔬菜(そさい)組合(遠藤淳一組合長)が作る白菜「松島純2号」が選ばれた。大嘗祭は一世一度の重要儀式であり、献上品への選出に関係者からは喜びの声が上がっている。

 宮中では毎年11月に天皇陛下が収穫への感謝を込め、全国で獲れた新穀をまつる「新嘗祭(にいなめさい)」を行っている。このうち新天皇が即位して最初の新嘗祭を大嘗祭と呼び、今年は各都道府県から3―5品ずつの農水産品が献上品に選ばれ、石巻地方からは唯一、白菜の伝統種「松島純2号」が献上されることになった。

 純2号は東日本大震災で被災した農家の営農再開を応援しようと、JA全農みやぎとみやぎ生協の連携で、平成23年に発足した「みんなの新しいふるさとプロジェクト」の一環で栽培が始まった品種。同組合では、現在9農家が生産に取り組んでいる。

 市場に出回る白菜の多くは品種改良された慣行種で、病気に強く丈夫で日持ちするのが特長。一方、伝統種の純2号は栽培が難しいデリケートな品種で生産量は多くないが、慣行種より葉が肉厚で柔らかく甘みが強い。繊維の抵抗感が少ないのも魅力で、鍋料理や漬物のほか、サラダなど生でも食べられる。

 純2号は、今年も10月中旬ごろから収穫が始まり、11月中がピーク。大嘗祭は宮中行事で生産者でも参加することはできないため、代表して遠藤組合長(46)=東松島市赤井=が宮内庁を訪れ、獲れたての純2号を届ける。

 遠藤組合長は「試行錯誤して育ててきた品を献上できるのは光栄。まして大嘗祭は滅多にない機会であり、組合員皆が喜んでいる。純2号を知ってもらえる契機になれば」と期待感を込めていた。

 純2号は11―12月上旬ごろに県内のみやぎ生協や、イオンタウン矢本内にある「ザ・ビッグ矢本店」などで取り扱う予定という。

最終更新:2019年11月2日(土) 10時58分

新着記事