石巻日日新聞

おながわ秋刀魚収獲祭 逆境好機に冷凍技術PR

不漁も最大限のもてなし

女川町 政治・経済 石巻日日新聞 2019年10月1日(火) 8時48分
女川の秋に欠かせない香りが会場を包んだ

 全国屈指のサンマ水揚げを誇る女川町で29日、秋恒例の「おながわ秋刀魚収獲祭」が開かれた。漁獲不振で水揚げがなく、生鮮物はお預けとなったが、町が誇る高い技術で鮮度を保った冷凍サンマを提供するなど“女川プライド”を誇示。同祭実行委の阿部淳実行委員長は「収獲祭を大漁祈願祭とし、来月以降の水揚げに期待したい」と前を向いた。

 サンマ漁は小型が8月10日、大型は同20日に解禁した。この30年間で女川港への初水揚げが最も遅かったのは一昨年の9月20日だが、今季はこの日を過ぎてもいまだ第一便が来ず、異例の事態となっている。

 そんな中でも実行委は「女川ブランドのサンマを消費者に発信するためにも中止はない」と実施を決断。一昨年は全国の水揚げ地から取り寄せて開いたが、今年は生鮮に引けを取らない鮮度を保つ女川の技術をアピールするためにも初の冷凍サンマでもてなした。

 女川駅前には約1万9千人(主催者発表)が来場。炭火焼き1万匹とすり身汁4千食が募金制で振る舞われ、行列の末に手に入れた秋の味覚を堪能した。近くに住む80代女性は「サンマを食べるのは今季初めて。水揚げがないのは大変だろうが、頑張って祭りを開いてくれてうれしい」と目を細めた。

 今できる最大限のもてなしに取り組んだ阿部委員長は「冷凍技術の素晴らしさを実感してもらえる機会になれば」と望んだ。

 主催の女川魚市場買受人協同組合の石森洋悦理事長は「女川は生サンマだけでなく、冷凍サンマもおいしいことを実感してほしい」と逆境を好機に変えていた。

最終更新:2019年10月1日(火) 8時48分

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