石巻日日新聞

参院選 自民の壁破り石垣氏当選 復興政策の検証も強調

大激戦は野党共闘に軍配

石巻市 政治・経済 石巻日日新聞 2019年7月22日(月) 15時03分
参院選 開票結果、得票数と投票率

 参院選は21日に投開票され、宮城選挙区(改選1)は野党統一候補で立憲民主党新人の石垣のりこ氏(44)が4選を狙った自民現職の愛知治郎氏(50)との激戦を制し、初当選した。石垣氏は党が掲げる消費税増税凍結よりさらに踏み込んだ消費税ゼロを訴え、無党派層を取り込んだ。愛知氏は祖父、父と3代にわたって半世紀以上受け継いできた議席を失った。

 仙台駅東口近くのビルに設けた石垣事務所は、開票前から有権者であふれる熱気。仙台駅西口の愛知事務所は固唾(かたず)を飲んで票の行方を見守っていた。全国32の1人区で宮城の当確が最後となるなど1議席を争う与野党の競り合いが続いた。

 午前0時22分、テレビで石垣氏の当確が伝えられると、事務所内からは一斉に歓喜が上がった。間もなく万雷の拍手に迎えられ、石垣氏は「本当に大接戦で1票の重さを感じる選挙。野党対与党、市民対権力、草の根対組織、新人対世襲の戦いだった。庶民の代弁者として声を届けていく」と語った。

支持者から花束を受け取る石垣氏
支持者から花束を受け取る石垣氏

 安住淳元財務相(衆院宮城5区)は「激しい論戦だった。これで野党共闘は28年の参院選、29年の仙台市長選に次ぐ3連勝。皆さんのパワーに感謝したい。この勢いを次の選挙につなげたい」と強調。また、郡和子仙台市長は「国政に声を届けてほしい」と述べた。

 石垣氏は「10月の増税が決まっているからと言って変えられないわけではない。社会保障に使うと言っていた消費税。本当は何に使われていたかを調査したい。壁を越えるべく仲間を増やして果敢に挑戦する」と訴えた。

 東日本大震災の復興に対しては「発災から10年を前に、復興政策が被災者の声に寄り添ったものなのかを検証する。復興庁に代わる支援体制を考えていく」と意気込んだ。

◆3期18年の愛知氏 地盤守り切れず苦杯

 安倍晋三首相や党幹部がテコ入れし、組織力で挑んだ愛知氏。「不徳の致すところ」と声を振り絞り、支持者らに頭を下げた。復興副大臣や財務副大臣を務めた実績、祖父で元大蔵相の故揆一氏、父で元防衛庁長官の和男氏と親子三代で受け継いできた地盤を守り切ることができなかった。

 石巻地方を含めた24市町で僅差ながらも石垣氏を上回ったが、大票田である仙台市(青葉区、宮城野区、若林区、太白区、泉区)と大崎市で集票に苦しんだ。結果的に3期18年の現職が、出遅れのハンデを背負った野党統一の新人候補に屈した。

 自民党会派で石巻地方の県議は「県連所属の和田政宗氏は比例当選となったが、宮城としては衆参で政府直結の議席が無くなったことに懸念を感じる。復興正念場の被災地としても辛いところ」と話していた。

最終更新:2019年7月22日(月) 19時26分

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