復興公営住宅の空室 ④ 世帯数4年後ピーク
次代への軌跡
石巻市 次代への軌跡 熊谷 利勝 2019年7月19日(金) 14時19分石巻市は6万1527世帯、14万3354人(6月末、住民基本台帳)が暮らす。人口は減少傾向にあるが、世帯数は震災で一時減ったものの世帯分離が進み、年々微増している。人口減、世帯数増は全国的な傾向。ところが社人研(国立社会保障・人口問題研究所)が発表した全国推計によれば、全国では2023年(令和5年)をピークに世帯数も減少に転じ、2040年(令和22年)には2015年(平成27年)と比較して4.8%減少するという。
市営住宅の管理戸数は現在、復興(災害)公営4447戸、既存市営1321戸の5768戸。復興公営だけでも約200戸の空きが生じている。こうした空きについて市は、低額所得者を対象にした通常の市営住宅と同様に入居者の一般募集を開始。また、既存市営住宅からの転居を促し、老朽化した団地の廃止により管理戸数を減らしていく。
20年の借上げ型復興公営住宅を民間に返還し、老朽化した市営住宅をすべて廃止したとしても4千戸が残る。震災前は1690戸なので、それでも2倍以上の管理戸数になる。
社人研の推計によれば県内も今後、世帯数が減少に転じ、1世帯当たりの平均人数も減っていく。市営住宅の入居対象となる世帯の割合が変わらないとすれば、自然減により、広い間取りから今以上に空き室が生じてくることが予想される。
管理戸数を減らす別の方策は、被災者が入居5年経過後に可能になる木造戸建ての復興公営住宅の払い下げだ。市街地は集合住宅のため、半島沿岸部の住戸が当てはまる。建設費をもとに時価での払い上げとなるが、市内の復興公営住宅の整備費は概算で1戸当たり約2800万円。資材や人件費の高騰で建設費が高く付き、時価も想定より下がっていない。
復興公営はもともと自己資金での自宅の再建が困難な人向けで、入居者の高齢化率も高い。そうした中で、どれだけの人が払い下げを希望するかは不明。余る市営住宅は、住宅以外の活用の検討も必要だろう。(熊谷利勝)
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