石巻日日新聞

女川出身の絵本作家 神田さん絵画を寄贈 古里支援プロジェクト

色があふれる豊かな町に

女川町 教育・文化 石巻日日新聞 4月19日(金) 8時49分
須田町長と絵画「新しい春」を届けた神田さん

 女川町鷲神浜出身で絵本作家の神田瑞季さん(23)=神奈川県相模原市=が、ふるさとに絵画で彩りを届けるプロジェクトを展開している。東日本大震災直後、手掛けた作品が復興支援の絵はがきとなって話題を集めたほか、平成29年には女川町を舞台とした絵本を出した。震災から丸9年となる来年3月11日の町内での個展開催に向け、町に絵画を継続して寄贈する計画を進めており、17日は「皆さんに〝本当の春〟が訪れるように」と鮮やかな桜の絵を届けた。

 神田さんは女川一中に在校中に被災。宮城野高校卒業後、東北芸術工科大学グラフィックデザイン学科で学んだ。現在はフリーランスで創作活動に取り組む。

 「表現のすべての源は女川の自然」と地元への愛着をにじませており、震災後は復興支援の絵はがき、町のがれき処理場の壁画など絵を通して女川を応援。大学在学中に著者の一人として作画を手掛けた絵本「なみだはあふれるままに」もまた震災を描いた温かな物語だった。

 女川は昨年度で町が独自に定めた8年間の復興期間を終え、新しい町の概形が完成した。そこで、彩りあふれるより良い町になるようにと今回の「カラーライフプロジェクト」を発案した。

 ふるさと貢献は震災の津波で亡くした祖父明夫さん(77)の影響も大きい。当時、行政区長を務めていた明夫さんは、近隣住民の避難を助けるために海の近くに残り、帰らぬ人となった。神田さんは「人のために動く姿を尊敬している」と話す。

 実際にプロジェクトが動き出したのは今年の3月11日。1作目の寄贈作品として縦50センチ、横60センチのアクリル画「幸せの樹」を町に贈り、須田善明町長に思いを伝えた。17日に贈った第2弾は「新しい春」。縦1.8メートル、横4メートルの大作で希望を感じさせる明るい光を帯びた桜の木を描いた。

 神田さんは「本当の意味での春が訪れ、それが永遠に続いてほしい。たくさん笑って暮らせる町になれば」と願った。須田町長は「活動を通して希望を届けてくれていることがうれしい」と感謝。同席した神田さんの父親真一さん(52)も「この機会を励みに頑張ってほしい」と語った。

 女川町はハード面の復旧がほぼ終わり、今後はポスト復興に向けた持続可能な地域づくりを進めていく。神田さんは「震災後、自分の毎日を後押ししてくれたのは〝色〟。穏やかさ、豊かさをもたらしてくれる力があると信じている」と絵を通した地域貢献に意欲を見せていた。

 「幸せの樹」は役場庁舎1階ホールに掲示中。「新しい春」は町が展示場所を調整し、式典などの記念撮影の背景としての活用も検討していく。

最終更新:4月19日(金) 8時49分

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