石巻日日新聞

震災から8年 石巻市追悼式 参列者数24年の4分の1以下

慰霊の場は分散傾向に

石巻市 社会 石巻日日新聞 2019年3月19日(火) 17時32分

 東日本大震災の翌年から石巻市が毎年3月11日に開く東日本大震災追悼式は、参列者が減少傾向にある。市の発表によると、ビッグバンであった今年は約700人と過去7回で最も少なく、約3千人が足を運んだ24年の4分の1を下回る。震災の記憶の風化が懸念されるが、今のところはそうではなく、慰霊や追悼の場が各地に整備できていることが背景にあるとみられる。

 25―29各年の参列者数はいずれもおよその推計で、25年1500人、26年1300人、27年と28年は各1100人、29年710人、30年800人。いずれも会場はビッグバンで、どの年も100人強の来賓が含まれる。

 参列者は減少傾向にあるといえ、28年から1千人を下回る。天候に恵まれなかった震災8年の追悼式も空席が目立ち、この日を休業としている市内小中学校の子どももほとんどいない。

 24年と昨年が日曜、29年は土曜、ほかは平日の開催で、曜日と参列者数の関係は不明。28年は震災から5年の節目であり、参列者が減少傾向にある中で前年と同規模になった。仏教でいう七回忌にあたる29年は遺族が各々法要を行い、市の追悼式への参列がひと際少なかったと考えられる。

 市は犠牲者が多かった半島沿岸部で慰霊碑の整備を進め、昨年は北上、今年は牡鹿(大原)と雄勝の各地区に完成。民間が独自に建立した慰霊碑も増えている。市の担当課は「各地に慰霊碑ができ、発災時刻に合わせた追悼行事が各地で行われている。市の追悼式の参列者が減っているのはそのためではないか」と想像する。

 それでも4千人近くが死亡、行方不明になった震災を忘れないため、市主催の追悼式を継続していく考え。とくに10年の節目には復興のシンボルとして整備中の(仮称)複合文化施設で行う予定だ。

 参列者の減少傾向は他市町も同様で、今年は東松島市で500人、女川町が550人といずれも過去最少。女川町では「平日で雨のため、もっと少ないと予想していた」という。

 東松島市は震災1年の24年が2500人、女川町は24年に2300人の参列があった。

最終更新:2019年3月19日(火) 17時32分

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