東日本大震災から8年 祈りで包む雨の石巻地方
故人浮かべて心の会話
石巻市 社会 石巻日日新聞 2019年3月11日(月) 14時42分石巻地方で死者、行方不明者6千人を出した東日本大震災から11日で丸8年となった。石巻地方は朝から雨となり、遺族らは涙雨とともに故人の安らかな眠りを祈って手を合わせた。住まいと環境整備は時間とともに整いつつあるが、心をえぐる深い傷跡は癒えることはない。遺族らは胸の中で生き続ける故人を思い浮かべながら祈りをささげ、心の会話を交わしていた。
石巻市南浜町に設置されている「がんばろう!石巻」看板前では午前9時ごろ献花台が設置された。看板は整備が進む石巻南浜復興祈念公園内にあり、北側に復興公営団地や津波からまちを守る高盛土道路が望め、一定の復興が感じられるようになった。南側はかつての住宅地だが、今は公園整備に向けて更地が広がったままだ。
南浜町で亡くなった義兄をしのび、石巻市成田から親子で訪れた山内孝夫さん(49)、捺稀さん(17)は、献花台に花を手向けて祈りをささげた。
孝夫さんは「毎年11日に必ずここに来ている。復興が感じられる部分もあれば、今もそのままのところもあって胸が痛む。心の復興は被災者それぞれだが、皆が幸せに過ごせるようになることを願うばかりだ」と語っていた。
震災時は多くの人が逃げ込み、津波に飲み込まれるまちを目にした日和山公園にも鳥居の下に献花台が設けられた。傘を差した人たちが眼下に広がる南浜町、門脇町、その先にある海を見つめて故人に寄り添った。
初めて訪れたという大阪府の寺本美紀さん(37)は「津波の情景を思い浮かべると、どんなに怖かっただろうと思う。復興はもっと進んでいると思ったが、更地も多く、復興完結はまだ先と感じた」と語った。
登米市の高橋文子さん(48)は「歳月の感じ方は人それぞれ。被災した皆さんはすごく複雑な時間を過ごしたことだろう。今を生きる私たちにできることは、大震災を忘れないことに尽きる」と話していた。
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