インバウンド元年 石巻に大型船寄港 外国人対応に準備不足露呈
通訳確保や連携に課題
石巻市 政治・経済 石巻日日新聞 2018年10月16日(火) 14時06分英国船籍の大型客船「ダイヤモンド・プリンセス」(定員2706人、総トン数11万5875トン)が石巻港に初寄港した先月18日、石巻市の中心市街地は外国人であふれた。市は今年を「インバウンド元年」として外国人旅行者の受け入れ準備を進めてきたが、公共交通が整っていない従来からの問題に加え、通訳の不足や官民連携に課題がみられた。増加する外国人旅行者の受け入れは経済振興や交流人口の拡大が期待されており、地域を挙げて改善を図ろうという動きも出てきた。
ダイヤモンド・プリンセスの乗船客は2714人。8割が外国人で、このうちの7割は欧米系。横浜発着のツアーで石巻市が最初の寄港地。外国客船の入港は過去にあるが、2千人を超す外国人への対応は未経験だった。
寄港時間は約8時間。市によるとこの間、3分の1に当たる約900人が市外の観光ツアーに参加。市中心部までのシャトルバスも運行され、入港後約1時間で600人以上が利用。タクシーを使った小グループもいた。
地場産品を扱う観光施設の「いしのまき元気いちば」は平日ながら週末並みの混雑。珍味がよく売れ、急きょローマ字での説明を掲げた。2階の元気食堂では天ぷらや海鮮丼といった日本らしい料理の注文が相次いだ。石ノ森萬画館は休館日を返上し、公益社団法人みらいサポート石巻は英語が話せるスタッフによる震災の語り部を実施した。
しかし歩いて行ける範囲に観光スポットが少なく、多言語対応も不十分。市が配置した通訳ボランティアは20人と少なく、タクシーを使うにも一苦労する外国人がいた。多くは目的を決めず街なかを散策。繁盛した飲食店などがあった一方、連休の振替で休業店舗もあった。観光とは無縁の寺院にも多くが出入りした。
3市2町と関係機関でつくる石巻港大型客船誘致協議会会長の亀山紘石巻市長は「街なかとの連携が十分でなく、案内や通訳も少なかった」と語り、もてなしに対する課題を残した。石巻港に今年寄港するはずだった2隻延べ4回の外国客船のうち、この日までの3回が台風で中止。比較的外国人が少ない最初の寄港で予行演習できなかった。
こうした中、市の第三セクター(株)街づくりまんぼうは18日、観光関係者や商店の経営者に呼び掛け「街なかインバウンド大作戦」と題した会合を開く。今回の入港時の対応を振り返り、今後の方策を話し合う。
外国客船は来年、2隻計4回、寄港する予定。亀山市長は「横浜発着だと石巻は最初の寄港地、反対回りでは最後の寄港地になりえる。そんな港の特色を生かして誘客に努めたい」と語り、国内船も含め年間約10隻の寄港を目指す考えを示した。
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