大曲浜獅子舞保存会 矢本二中生に15年ぶり指導
楽しさと伝統を次世代に あすの文化祭で披露
東松島市 教育・文化 石巻日日新聞 2018年10月12日(金) 14時33分約350年の歴史を持ち、東松島市の無形民俗文化財に指定されている大曲浜獅子舞。今や東日本大震災で壊滅的な被害を受けた大曲浜に営みがあったことの証となっているが、被災による住民の転居や高齢化で担い手不足は否めない。同保存会(土門勇樹会長)は、若い世代に文化と伝承を引き継ぐため、15年ぶりに学区内にある矢本第二中学校の生徒に指導を再開した。若手会員が生徒9人に技術と心を伝えており、13日に同校で行う文化祭の一般公開で成果が披露される。
保存会は昭和48年に設立し、存続が危ぶまれた震災後も活動を継続。大曲浜の元住人が多く住む防災集団移転地のあおい地区を拠点に、コミュニティーをつなぐ役割も果たしてきた。
保存会には40人以上が会員登録しているが、実働は約半分。もとをたどれば“門外不出”の獅子舞だったが継承には後継者の育成が欠かせず、今では大曲地区以外の人の参加も募っている。
こうした状況から浜の伝統を継承するためにも本年度、15年ぶりに地元中学生への指導を再開させた。土門会長(35)や会員の多くは中学生時代に獅子舞に触れた世代。5年前に保存会の働きかけで発足した大曲小獅子舞クラブの初代メンバーが中学2年生になったのを好機とし、学校の協力で再開した。
保存会は今春、参加者を募るために矢本二中の全校生徒の前で演技を披露。勇壮な舞にひかれ、同クラブにいた生徒7人のほか、赤井南小出身の未経験者2人が手を挙げた。
週1―2回、同校体育館や大曲市民センターで練習を行う。獅子の中で舞うのは保存会の会員であり、生徒たちは笛や太鼓などの囃子(はやし)。経験者も含め、一からのスタートだったが、若い吸収力で腕を上げ、文化祭での発表を待つばかりとなった。
晴れの日を間近に控えた10日は、同校体育館で練習した。同会育成指導部長の葛西寿章さん(30)は「地元の芸能に取り組んでくれるだけでうれしい。保存会の先輩もこういう気持ちだったのかもしれない」と目を細めた。
土門会長は「獅子舞の楽しさを伝えることが一番の目的。伝承やコミュニティーは、その上で生まれる」と話す。新たな世代として芽生えた斎藤大耀さん(2年)ら生徒たちは「見たことはあったが、やってみると楽しい」と口をそろえた。
文化祭での披露は午前11時半から。一般公開の開幕を飾る演技であり、大曲浜の「心のふるさと」である獅子舞が新たな世代を引き連れ、ステージで舞う。
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