石巻日日新聞

長面浦で結婚式 木下智也さん、葉子さん 被災した古里に響く祝福の声

二人で進む「松原荘」再建の道

石巻市 教育・文化 石巻日日新聞 10月13日(金) 20時38分 配信
両親に感謝の言葉を伝える智也さんと葉子さん

 豊かな自然に囲まれた石巻市尾崎地区の長面浦に面した寺院の海藏庵(かいぞうあん)で9月16日、結婚式が行われた。式を挙げたのは長面地区で生まれ育った木下智也さん(29)と茨城生まれ、東京育ちの谷藤葉子さん(27)。震災後、災害危険区域に指定された長面浦を見渡す海藏庵に二人を祝福するにぎやかな声が響いた。

 結婚式場となった海藏庵は木下家の菩提寺だが震災により被災。現在は同市相野谷に仮本堂を建設して寺院としての機能を移している。智也さんの生まれ育った地域で挙式を挙げたいという二人の強い思いをかなえようと、石巻ウェディングがプロデュース。家族や友人、地域の人など約100人が参列した。

 智也さんの実家で長面地区にあった旅館「松原荘」は震災の津波で流失し、子どもの頃から慣れ親しんだ自然豊かな景色は一変してしまった。それでも智也さんは松原荘の再建を目指し、仮設店舗での飲食業の営業を続けてきた。

 一方、葉子さんが初めて石巻を訪れたのは都内の大学に通っていた平成23年4月。復興支援ボランティア団体のスタッフとして避難所の子どもたちの遊び相手になったり、渡波地区で泥出しの力仕事をしたり、またボランティアの受け入れも行った。大学を卒業した26年3月に同団体のスタッフとして再び石巻を訪れた。1年間活動する中で智也さんと出会い、意気投合。一緒に山菜取りやタケノコ狩りに出掛けるなど四季おりおりの楽しみを通して仲を深めた。

 28年7月、石巻市中央の橋通りCOMMONに飲食店「松ばる」を構えた二人は9月に結婚。店には智也さんの味を求める人や、2人との会話を楽しむ客が多く訪れている。時には漁業者が新鮮な食材を持ち込むこともあるなど、「松原荘」の再建を目指してスタートした店は人気店となった。

アウトドアで披露宴

 石巻の魅力を伝えられる屋外で披露宴を行いたい―。祝いの会場は智也さんにとって思い出深い長面浦とし、海藏庵境内でアウトドア気分を楽しめる雰囲気にした。

 ケーキ入刀ならぬ新郎新婦による〝マグロ入刀〟を行い、智也さんがマグロの解体を披露。テーブルには地元でとれたサケを使った「ちゃんちゃん焼き」のほか「ベッコウシジミ汁」など地域自慢の味が振る舞われたほか、コモンの飲食店仲間たちも腕を振るいスイーツの提供や味付けに協力。式を盛り上げた。

 智也さんは「多くの人に協力してもらい実現できた。私たちにとって大切な人たちに、改めて地域の魅力を感じてもらえた」。葉子さんは「家族や友だちに、のんびりとした楽しい時間を過ごしてもらえた。にぎやかな声が響いて地元の人たちが想像以上に喜んでくれたのがうれしかった」と人生の新たな船出に満面の笑顔を見せていた。

タグ:結婚式
最終更新:10月13日(金) 20時38分
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