小積浜にシカ処理加工施設
石巻市 社会 石巻日日新聞 2017年6月3日(土) 狩猟で仕留めたシカを解体し、食肉として処理加工する施設が石巻市小積浜に建設される。今夏、牡鹿半島を主会場に行う芸術や音楽の総合祭「リボーンアート・フェスティバル」(RAF)事業の一環。鹿肉はジビエ(狩猟で得た野生鳥獣を使った料理)など地元食材のレストランや芸術作品を展示する施設「牡鹿ビレッジ」で提供する予定だ。上棟式が5月26日に現地で行われ、地元住民とRAF関係者が地域に役立つ場となることを期待した。
施設は農作物の食害や自動車との接触事故など被害が深刻化するシカの駆除を進めるとともに地域資源として活用していくのが目的。一般社団法人リボーンアートフェスティバル=石巻市中央二丁目=出資の子会社が、震災前の住宅地で現在は市有地となっている土地を借りて整備し、完成後も運営する。
建物は木造平屋の吹き抜け構造。延べ床面積は約92平方メートルで、食用加工設備や冷蔵冷凍設備を配備し、7月上旬の稼働を目指す。
上棟式には地域住民やRAF関係者ら約40人が出席した。神事や餅まきで工事の安全とRAFの成功、地域の発展を願った。
RAFは7月22日―9月10日に開催。鹿肉は、RAFが同市荻浜に整備する地元食材を使ったレストランや「牡鹿ビレッジ」のほか、全国各地の飲食店などへの提供を予定する。
鮮度を維持し食肉として加工するには適切な処理が必要で、これまで食肉用に加工しないシカは地中に埋めるなどで処理されていた。同事業で狩猟や加工を担う県猟友会石巻支部の小野寺望さん(49)は「施設が稼働すれば、ジビエ食材として有効に活用していける。鹿肉を全国に届け、次世代につなぐ事業に育てていきたい」と話していた。月に約30頭の加工処理を計画しているという。
小積浜区区長の阿部長一さん(66)は「食害などの拡大を防ぐとともに、人の往来が生まれ、地域産業として半島全体の活性化を目指してほしい」と期待を寄せていた。
【写真】シカ被害の減少と地域発展に貢献する場となることを祈った
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