まちの保健室でセルフケア
石巻日日新聞 2017年5月20日(土) 県看護協会が石巻市からの委託で取り組む「まちの保健室」は、震災から6年が過ぎた地域の実情に合わせて本年度から開催場所を1カ所増やし、4カ所になった。商業施設で看護師らが市民の健康測定や相談を行うもので、災害公営住宅周辺を新たな会場に設定。市老人福祉センター寿楽荘での定期的な「出張版」も新たに始め、多くの住民が利用するコミュニケーションの場にもなっている。
まちの保健室は、問診の上で血圧、体脂肪、血管年齢の測定を行う。測定時などに健康相談にも応じる。専用の健康手帳を配布し、継続的な記録で体調の変化などを知ることができる。
活動はもともと阪神・淡路大震災後に兵庫県看護協会が実施。これを参考に、宮城県看護協会が東日本大震災の最大被災地の石巻を開催地として継続実施を決めた。24年度は県の予算を活用し、翌年度からは石巻市による委託事業となった。
これまで市内3つの商業施設内でそれぞれ月に1度程度のペースで行っており、このうち最大の会場のイオンモール石巻では1回あたり4時間で90人ほどが利用している。また半島部や仮設住宅集会所などへ出向く「出張版」も不定期に行ってきた。
本年度はこれに加え、新たにヨークベニマル湊鹿妻店でまちの保健室を、また市老人福祉センター寿楽荘で初めて定期開催の出張版をスタート。いずれも周辺に復興公営住宅が完成しており、住環境の変化に対応した。
寿楽荘での2回目の開催となった12日は2時間半で27人が訪れた。出張版では傾聴ボランティアによるサロンも同時開催しており、こちらも好評だった。
「保健室」とは言いながらもにぎやかな雰囲気だ。健康は多くの人に共通する関心事であり、測定結果を見せ合いながら談笑する姿もあった。市によると、継続的に実施することで、住民同士のコミュニケーションの場にもなっているという。
徒歩で近隣住民が訪れる一方、新蛇田地区の復興公営住宅に独居する沼澤英夫さん(84)は自転車で来場。「ここまで来るのも健康づくりの一つ。仮設住宅での健康相談会の頃から見知った看護師さんと話ができるのが楽しみ。自分の体を知っている人に相談できて安心」と語っていた。
市では「セルフケアを行う上で健康状態を知るのは重要で、保健室に来るようになり、体調に好影響があった人もいる。今後も地域のニーズを読みながら柔軟に展開していく」と話していた。
まちの保健室はイオン石巻とヨーク鹿妻店のほか、イオンスーパーセンター石巻東店、ヨークベニマル大街道店で月に計5回開催。時間は午前11時―午後3時。寿楽荘での出張版は午前10時-11時半。問合せは市健康推進課(☎95-1111)。
【写真】和やかに会話を交わしながら健康測定(12日、寿楽荘)
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