石巻日日新聞

東松島市長選 渥美氏が立候補表明 現市政継承で復興加速強調

石巻日日新聞 2017年2月28日(火)

 県議の渥美巖氏(69)=東松島選挙区・6期目=は27日に石巻市役所内で記者会見し、任期満了に伴う東松島市長選(4月16日告示・23日投開票)に無所属で立候補することを表明した。渥美氏は「この時期の出馬は苦渋の選択だが、政治家の集大成として古里に恩返ししたい」と語った。渥美氏の参戦で12年ぶりの市長選は、ともに元市議で会社役員の五野井敏夫氏(63)、行政書士の木村清一氏(67)の一騎打ちから三つ巴戦に変わった。すでに事務所を開設する元市議の2陣営は「粛々と進めていく」とし、手綱を引き締めた。

 渥美氏が掲げたキャッチフレーズは「好きです 東松島!」。県議22年で培った人脈を生かし、公約に企業誘致や人口減少対策、基幹産業の活性化、子育て支援と福祉充実、松島基地との共存共栄など7つの柱を置いた。

 今期限りで勇退する阿部秀保市長(61)とは、震災対応などで「二人三脚」を公言するほどの仲。渥美氏は「阿部市長の市政を継承していく。国、県の予算を確保し、市民ファーストの地方自治を進める」と述べ、復興のモデル市を目指す考えを示した。

 後援会の事務所開きは、3月12日午後1時半から同市赤井字川前の自宅隣地で行う。20日午後6時から村井嘉浩知事らを招き、県政報告会を兼ねた大集会を市コミュニティセンターで開く予定だ。

 渥美氏は東松島市赤井出身、石巻商業高校卒。旧矢本町職員を経て平成7年に県議選に立候補し、現在6期目。県議会では副議長、震災復興調査特別委員会委員長などを歴任した。

◆2陣営「予測できていた」 阿部市長は渥美氏応援 県議補選も絡み混とん
 東松島市長選に渥美巖氏が立候補したが、すでに後援会をフル稼働させる五野井敏夫氏と木村清一氏の両陣営に大きな動揺はない。五野井氏側は「なぜ今さら、といった疑問はあるが、選挙手法は何も変えない」といい、木村氏側も「今まで通り粛々と進め、政策で戦う」と語る。両陣営は「出馬は予測できていた」と口をそろえた。

 しかし、両陣営には渥美氏の地縁、血縁者も多くおり、困惑は広がる。また、両方の事務所開きに顔を出した14人の現職市議の中には「渥美氏の事務所開きに出席するかどうかは検討したい」との声も。選挙後のしこりを懸念する市民もいる。

 渥美氏はこうした批判も覚悟の上としており、「この時期の表明で多くの人に迷惑がかかることは十分、承知している。でもまちの未来を考えたとき、個人にマイナスとされても市のためにプラスになることをやるのが政治家だ」と述べた。

 市長選を巡っては昨年5月、阿部秀保市長が今期での引退を表明。後継指名はしなかったが世代交代を期待し、市の幹部職員の一人に立候補を促していた。しかし、同職員が今月中旬に正式に断ったことから、元市議同士の一騎打ちの形になっていた。

 一方で昨年から渥美氏への出馬要請も各方面からあった。当初は否定的だった渥美氏も心が揺らぎ、26日に後援会の全会一致を経て立候補を決めた。

 阿部市長は28日、取材に対して「渥美氏とは政治理念が一緒であり、信頼している。決断を尊重し、応援したい」と明言した。

 渥美氏は県議辞職の時期について支援者や後援会と相談して決めるとしている。県議は、東松島のように選挙区定数が1人の場合、辞職後50日以内に補欠選挙を行う。市長選と市議選、そして県議補選のトリプル選挙となるのか、それとも告示日に公選法により自動失職となれば、5月下旬ごろの選挙もあり得る。今後は時期を含めて県議補選を巡る動きも活発化しそうだ。

【写真】記者会見で立候補の決意を語る渥美氏

最終更新:2017年2月28日(火)

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