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コラム

石巻市 政治・経済 石巻日日新聞 6月19日(月) 14時41分 配信

 巷では古地図がブームだ。火をつけたのはNHKの「ブラタモリ」。全国の都市の歴史的な痕跡をめぐる番組で、取り上げられた地域では、かつての街並みが記された地図が復刊されている。当時の町のざわめきや人々の息遣いまで聞こえてくるのが魅力らしい。

 そしてこのたび登場したのが、「石巻古地図散歩」。地元の旧家などに残る13枚を1冊の本に収めた。地図というより絵画のようなものもあるが、江戸時代から昭和中期の様子がわかる貴重な資料ばかりだ。

 きっかけは東日本大震災。石巻出身で、仙台市でデザイン事務所を営む小野寺豊さんが郷土史家の邉見清二さんを訪ねた時、海水を浴びて無残な形になった歴史資料を見せられた。中には幸い無事だったものもあり、「これらを後世に伝えなければ」と思い立った。

 その邉見さんは「北上川で繁栄した石巻には川沿いに屋敷や蔵が多くあったが、震災で所蔵品も滅失した。地域の歴史まで否定されたようでショック」と6年前を振り返る。唯一うれしかったこと。それは困難を乗り越えて伝承すべき資料を大切に守り続けた人たちがいたことだった。

 今回掲載した以外にも石巻の古地図はまだあるはず。「これは第一歩」といい、さらなる掘り起しに意欲的だ。

(平成29年6月19日)

最終更新:6月19日(月) 14時41分

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